コラム「南風」 卒論コラム ウチナー心


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 沖縄に拠点を移して1年、生活に慣れてきたからこそ、最近しみじみ自分はナイチャーだなぁと実感します。例えば、友達と海へ出掛けた時、いまだに私だけ尋常じゃないほどハイテンションになります。

 私は沖縄出身ではありますが内地で育ったため、海がある景色はやはり特別。少し苦笑いの友達を横目に、撮影大会を始めます。先日友達と話している時、ウチナー口を覚えた私は披露したいがためにいきおいあまって「ワッターたちは~」とか言ってしまいました。デージアファーでした。でもそんなナイチャーな自分とは裏腹に、こんな気持ちが芽生えたのも確かです。それは、沖縄にもっと寄り添いたい、という気持ち。
 私の祖母はよく「りんごの唄」を歌っていました。いつも二番にさしかかると何かを思い出したように涙をうかべて、歌うのをやめました。ゆっくり窓の外に広がる海を眺めながら、戦争の話をしてくれたのです。これまで私は自分のために好きなうたを歌ってきましたが、沖縄に拠点を移して、自分の仕事や今ある環境に、誇りと責任が持てるようになり誰かのために歌う喜びを知りました。今になって、あの時の祖母の言葉が自然に心に染み込んできます。伝えていかなきゃ。これから私にとって歌うということは伝えること。祖母の言葉、あのまなざしの先に見えていたものがなんであるのか考えること。沖縄のためにと思うことはきっと一番自分のためになるのだと気づきました。
 私は沖縄と「生きていきたい」そんなウチナー心があれば多少はウチナー口間違っても許して下さい。今日はあの時祖母が眺めていた海と、今私が眺めている海がつながっているように見えます。私のコラムを読んでくださった皆さま、このような機会を与えてくださった琉球新報の皆さま、ありがとうございました。
(Manami、歌手)