コラム「南風」 中部が好き


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 沖縄に住むようになってから、もうすぐ10年がたとうとしています。
 最初の1年弱は、司法試験に合格した後の研修である司法修習で那覇に住んでいました。司法修習以外の時間があるときは、自転車で那覇をはじめとして本島の南部や中部をめぐったり、たまに名護バスセンターまでバスで行き、そこから北部を自転車で回ったりすることもありました。旅行などで離島に行くこともありました。

 私は茨城県の田舎育ちなので、那覇を十分都会だと感じており、那覇の街めぐりは楽しかったですし、また、やんばるの森の中や南部のうーじ畑の中を自転車で駆け抜けたときの爽快感も忘れられません。さらに、今の私の体形からは考えられないことですが(笑)、石垣島のトライアスロン大会に出場して完走したときの充実感も忘れられません。
 しかし、当時から、なぜかはっきりした理由は分からないのですが、「住むなら絶対、中部だ!」と考えていました。そして、弁護士になってからは、所属事務所が中部にあることもあり、ずっと中部に住み続けています。
 今では、東京など県外に出張に行った帰りに、沖縄自動車道で「沖縄南」や「沖縄北」と書かれたインターチェンジの標識を見ると、「帰ってきたなあ」と思いホッとします。
 私の生まれ育った茨城県つくば市と、私の所属事務所のある沖縄市や住まいのあるうるま市などの中部とは、あまり雰囲気は似ていません。ただ、つくば市も、沖縄市やうるま市も、適度に都会で適度に田舎であるという点では共通しています。だから、10年足らずで中部がすっかり私の第2の故郷になったのかもしれません。
 とにかく、私は中部が好きでたまらないのです。
(大井琢、弁護士)