コラム「南風」 老輩と44人男子学生


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 東京都狛江市に南灯寮という沖縄県出身者の県外学生寮がある。管理運営しているのは(公益財団法人)沖縄県国際交流・人材育成財団である。その財団から寮監として委嘱を受け、4月1日から勤務している。

 資料によると、南灯寮は1947年に財団法人沖縄県学生援護会が(株)昭南製鉄所の工員寮を購入、沖縄県出身者学生寮として南灯寮と命名し、管理運営をスタートさせている。56年の改修とともに財団法人沖縄財団に運営が移行、72年祖国復帰とともに琉球育英会が解散し、財団法人沖縄県育英会が誕生すると、管理運営がこの財団に移行した。82年には沖縄県育英会が沖縄県人材育成財団に改称、87年に鉄筋コンクリート3階建てに改築、2000年には沖縄県人材育成財団が沖縄県国際交流・人材育成財団に改称し現在に至っている。
 部屋数47室、すべて個室である。各部屋とも冷暖房が完備し、築年数による老朽化は見られるものの生活するには十分である。ひと月の寮費は朝夕2食込みで4万3200円という安さである。今後東京の大学等に進学を考えている方は住居として選択肢の一つに加える価値は十分ある。詳しいことは財団のホームページをご覧いただきたい。
 4月当初は46人の入寮があったが通学時間等の都合で2人が自主退寮し、現在大学院生1人、大学生39人、専門学校生4人、計44人が共同生活を営んでいる。
 寮監を引き受けるに当たり業務内容の説明を受けた。寮生の指導、寮の施設・設備管理、渉外に関することなど9項目もあった。生活規則をめぐる寮生との静かなバトルも日常的に存在する。
 還暦過ぎた老輩が44人の血気盛んな男子学生相手に戦ったところで、勝利するなど至難の業である。
 取りあえずやってみよう、負けるが勝ちということもあるではないか。
(大山清、沖縄県県外学生寮南灯寮寮監)