芥川賞に難病の市川沙央さん　「ハンチバック」で受賞

　第１６９回芥川賞、直木賞（日本文学振興会主催）の選考会が１９日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は先天性の難病で身体に障害のある市川沙央さん（４３）の「ハンチバック」（「文学界」５月号）に、直木賞は垣根涼介さん（５７）の「極楽征夷大将軍」（文芸春秋）、永井紗耶子さん（４６）の「木挽町のあだ討ち」（新潮社）に決まった。

　市川さんは１９７９年神奈川県生まれ。難病「先天性ミオパチー」のため人工呼吸器や電動車椅子を使って生活している。受賞作は、文学界新人賞も受けたデビュー作。難病の女性の欲望や怒りをユーモアを交えて描き、健常者の特権性を射抜く作品が評価された。

　垣根さんは６６年長崎県生まれ。受賞作は、室町幕府初代将軍の足利尊氏の数奇な半生を弟直義と側近高師直の視点から描く時代小説。

　永井さんは７７年生まれ、神奈川県出身。受賞作は、江戸時代後期を舞台に芝居小屋の裏手で起きたあだ討ちの真相を巡る群像劇。

　贈呈式は８月下旬、東京都内で開かれる。賞金は各１００万円。