共同通信 岸田文雄首相は２８日、自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、党総裁として衆院政治倫理審査会に出席する意向を表明した。「自ら出席し、マスコミオープンの下で説明責任を果たしたい」と官邸で記者団に述べた。政倫審公開の是非を巡り与野党対立が続けば、政治不信が高まりかねないとして局面を打開する狙いがありそうだ。自民は立憲民主党に首相の出席意向を伝達。衆院政倫審の与野党筆頭幹事による協議で２９日開催に向け手続きを進める方針で大筋合意した。
首相が衆院政倫審に出席すれば現職首相としては初めて。首相は記者団に、出席を申し出ている安倍、二階両派の計５人を念頭に「政治の信頼に向けて、ぜひ志のある議員に政倫審をはじめあらゆる場において説明責任を果たしてもらうことを期待している」と述べた。政倫審開催が決まらない状況については「極めて残念だ。国民の政治に対する信頼を損ねる。政治不信がますます深刻になると強い危機感を感じていた」と強調した。
自民の浜田靖一国対委員長は２８日、立民の安住淳国対委員長と国会内で会談。会談後、安住氏は記者団に首相の政倫審出席にあたっての申し出内容などを野党間で協議すると説明した上で、首相自身に関するパーティー開催についても弁明するとの見立てを伝えられたと明らかにした。
その後立民、日本維新の会、共産党、国民民主党による野党国対委員長会談を開催。首相が出席する政倫審開催の２９日開催に向け与党側と調整を進めることを確認した。
ただ野党が求めている安倍派幹部ら５人の公開の是非を巡っては与野党間で合意に至っていない。２０２４年度予算案の３月中の成立が確実となる３月２日までの衆院通過をにらんだ与野党の攻防は激化している。
政倫審は原則非公開で、公開には本人同意が必要となる。自民は当初、開催を申し出た５人が「完全非公開」を希望していると説明。立民の批判を踏まえ、国会議員の傍聴に限り容認する案を提示した。野党は、説明責任を果たすためには全面公開が不可欠だと主張している。
