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防衛増税、来年度実施せず 首相 「所得減税同時期なし」


防衛増税、来年度実施せず 首相 「所得減税同時期なし」 衆院予算委で答弁する岸田首相=27日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信

 岸田文雄首相は27日の衆院予算委員会で、防衛力強化のための増税時期を巡り「2024年度から実施できる環境になく、所得税の定額減税と同時実施とはならない」と表明した。防衛増税は家計の負担にならない仕組みになるとして「減税との整合性の問題は生じない」と説明した。野党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と接点があった閣僚らの資質を追及。首相と全閣僚が出席した基本的質疑で本格論戦がスタートした。

 首相は経済対策に関し「所得税減税の手段を使い、デフレからの脱却を完成させなければならない」と強調。税収増分を所得税と住民税の減税で還元し、速やかに低所得者に給付を行うとした。法人税などの防衛増税の開始は「24年以降の適切な時期」と決めていたが、与党内で先送り論が強まっていた。

 旧統一教会の財産保全を巡り、教団から関連法案を提出しないよう求めるファクスが届いたと明らかにした。各議員に送りつけられたとした上で「自民党として関係を断つ方針を確認しており、不当な影響を受けることは金輪際ない」と語った。

 立憲民主党の西村智奈美氏は、教団との接点が判明していた5閣僚に改めて関係をただした。鈴木淳司総務相、盛山正仁文部科学相、伊藤信太郎環境相、木原稔防衛相、松村祥史国家公安委員長はいずれも過去の接点を説明し、今後は関係を持たないなどとした。

 斉藤鉄夫国土交通相はタクシーなどの運転手確保策について、一部地域で課す地理試験の廃止を含め、早急に検討する考えを表明した。

 首相は政府保有のNTT株の売却案に伴うNTT法見直しに関し「自民党の提言を十分踏まえ、検討を加速させたい」と強調。24年度に診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス報酬の同時改定があることを踏まえ「賃上げがどうあるべきか真剣に考えたい」と語った。

 生成AI(人工知能)の開発支援にも力を入れると表明。東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との脱炭素の連携枠組み「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」に関する初の首脳会合を12月に東京で開催すると明らかにした。

 衆院予算委は30日も開き、31日と11月1日は参院予算委を開催する。

(共同通信)