新年初取材は、東京の羽田空港で発生した日本航空機と海上保安庁機の衝突事故から始まった。
「羽田で日航機が燃えているらしい」。1月2日、実家に見送りに来た友人の言葉で事故を知った。私が知る限り日本の航空会社の機体が全焼した事例は近年なく、軽いエンジン火災程度に捉えていた。しかし友人の車のテレビに映っていたのは、炎が機内まで燃え移り、焼け落ち始めた日航機の姿だった。現実離れした光景に何も考えられなかったが、写真だけは押さえようと羽田に向かった。
車中で、5年前に発生した首里城正殿の火災を思い出した。当時は京都府に住む学生で、深夜3時過ぎから朝までテレビ中継を見守った。当初は「ボヤ程度だろう」と軽く見ていたが、炎に包まれた正殿を見て唖然(あぜん)とした。いずれの事案も整っているように見える管理体制や事故の類例がないなどが過小評価の理由だが、絶対は存在しないと実感した。
今回は事故発生から1時間以内に羽田に到着し、事故の記事や写真を紙面に反映できた。だがもし過小評価したまま自宅にとどまっていれば、初動が遅れ十分な取材ができなかった可能性もある。何事にも「まさか」があることを改めて胸に刻み、今年も積極的な取材活動を心がけたい。