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読み聞かせ「最高の時間」 半身まひでも、独自の道具工夫 園児らを物語の世界へ 伊江村の保育士 沖縄


読み聞かせ「最高の時間」 半身まひでも、独自の道具工夫 園児らを物語の世界へ 伊江村の保育士 沖縄 知念季哉さんの読み聞かせに耳を傾ける子どもたち=3月22日、伊江村東江前のあおぞら小規模保育園(提供)
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 【伊江】3月まで伊江村立保育所で保育士として働いた知念季哉(ときや)さんは、6年前に発症した脳内出血の影響で右半身にまひの症状が残る中、独自に作成した小道具を使って村内の保育所などで絵本の読み聞かせを続け、子どもたちを楽しませてきた。「絵本の良さを多くの人に知ってもらいたい」と語り、4月からは、認定絵本士の資格を取得するため、沖縄女子短期大学に通い、スキルアップを目指している。

 絵本が大好きな知念さん。自前で小道具を作成し、紙人形を使う劇「ペープサート」や、パネルに絵人形などを登場させる「パネルシアター」の手法を活用し、園児らを物語の世界へ引き込んできた。

 3月22日には、同村東江前のあおぞら小規模保育園(渡久地久子園長)で読み聞かせを行った。同園で知念さんが読み聞かせをするのは初めて。手遊びの後に「こわめっこ」「いちにちうんち」「けっこんしき」「たこやきマントマン」などを読み聞かせ、子どもたちと一緒に絵本の世界を堪能した。

 同園の渡久地園長は「子どもたちは目を輝かせて季哉先生の読み聞かせを聞き、あっという間に絵本の世界に引き込まれていた」と喜ぶ。子どもたちは、絵本の登場人物のせりふも覚え、知念さんの読み方をまねしてみるなど楽しんでいたという。

 渡久地園長は「季哉先生と初めて会った子どもたちだが、読み聞かせを通して、お互いの心が通じ合い絆ができたように感じた」と振り返っていた。

 これまでの活動を踏まえ「読んでいる本の内容によって子どもたちの表情が変わる」と話す知念さん。「(子どもたちは)悲しい本を読んでいると悲しい顔、楽しい本を読んでいる時はにこにこ笑顔に変わる。その表情を独り占めできる。読み聞かせしている人にしか味わえない最高の時間」と醍醐味(だいごみ)を語った。