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音楽愛する沖縄の心 未来へ 県系3世の歌手・ジェラルドさん 来月、糸満でコンサート出演


音楽愛する沖縄の心 未来へ 県系3世の歌手・ジェラルドさん 来月、糸満でコンサート出演 11月3日に糸満市でコンサートを開く糸満市ふるさと大使の上原民子さん(右)と出演する県系3世のジェラルド・イシバシさん=9月21日、米ロサンゼルス市の上原旅行社
この記事を書いた人 Avatar photo 米倉 外昭

 【今帰仁・糸満】糸満市と米カリフォルニア州レドンドビーチ市の友好都市締結10周年記念チャリティージャズコンサートが11月3日、糸満市で開催される。糸満市出身で、米ロサンゼルスで上原旅行社を営む上原民子さん(85)=糸満ふるさと大使=らが実行委員会を結成して準備を進めており、県系3世の歌手ジェラルド・イシバシさん(72)が出演する。

 ジェラルドさんは、ロサンゼルスを拠点に活動する4人組「アイランドクルーナーズ」を率い、コンサートで沖縄の「メディカルジャズオーケストラ」と共演する。

ジェラルド・イシバシさんの母方の祖父母、石嶺トクヘイさん(左)とカマトさん(ジェラルドさん提供)

 ジェラルドさんの祖父母は今帰仁村出身。祖父、石嶺トクヘイさん(1890年生まれ)は三線が上手だった。祖母カマトさん(99年生まれ)は旧姓・稲福。2人は契約移民でメキシコに渡り、徒歩でカリフォルニアに移り、露天商から始まってビリヤード場を持つまでになった。

 しかし、第2次大戦で強制収容所に送られ、財産を全て没収された。戦後はアパート経営や庭師で生計を立てた。

 ジェラルドさんは2022年の「世界のウチナーンチュ大会」に参加し、閉会式で大人から子どもまで三線と太鼓に合わせて舞い踊る姿に感動した。子どもの頃、週末になるとみんな集まって祖父の三線で民謡を歌っていたことを思い出したという。

 この時、沖縄の音楽があったから、県系移民がさまざまな苦しさを乗り越えられたのだと気付いた。「祖父母からギフトをもらったと思った」と感じたという。このギフトを沖縄のステージで聴衆と共有できることに胸を躍らせている。次の夢は、祖父らの生家に孫を連れて行き、ギフトを引き継ぐことだ。

 コンサートの問い合わせは実行委員会事務局、電話090(2713)9977。

 (米倉外昭)