高齢者の骨折リスク増加、どう予防? 県整形外科医会・永山会長に聞く


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 新型コロナウイルスの感染拡大でリハビリやデイケアなどの活動が制約される中、主に高齢者の骨折リスクが高まっている。こうした活動制限下でどう骨折を予防できるのか。県整形外科医会の永山盛隆会長に話を聞いた。(聞き手・島袋良太)

Q.コロナ禍でも骨折件数が減っていない。

 「不要不急の活動自粛を強いられ、多くの人が運動不足になっている。沖縄県民は特に運動せず、肥満率も全国一という不名誉な記録がある。高齢者の運動不足と肥満が歩行能力を低下させ、転倒骨折につながることは容易に想像できる。大腿骨(だいたいこつ)近位部骨折の発生頻度は男性が全国ワースト1、女性がワースト2だ。新型コロナによる骨折の発生リスクは運動不足による移動能力の低下、すなわちロコモティブシンドロームの悪化からくる。防止策は日頃のバランス訓練、筋トレによる転倒しにくい体づくり、食生活も含めた肥満対策だ」

Q.デイケアなどが制限される中で具体的な方法は。

 「自宅にこもることがベストだとは思わない。早朝の散歩などは3密を避ければ可能だ。毎日30分のウオーキングをするだけでも下肢の運動として有効だ。どうしても屋内での体操を選ぶならば、まずは歴史あるラジオ体操がお勧めだ。毎日の習慣にすることが大切だ。他に整形外科学会が推奨するバランス訓練やスクワットもあるが、高齢者が続けるには家族も一緒に楽しくした方がいい」

 「高齢者は防御が遅いので転倒が骨折につながりやすい。さらに骨折すると機能回復が難しく、寝たきりなどのリスクもある。そうなると家族の介護負担も生じる。転倒しないための身体能力維持が非常に重要だ。骨粗しょう症があれば骨折しやすいため、薬剤療法も必要だ」

Q.自宅での運動で転倒して骨折するリスクは。

 「無理せず、できる形ですることが大事だ。スクワットや片足立ちが有効だが、転倒防止のために片手を机に添えて行う方法もある。スクワットも机に手をついたり、膝を90度まで曲げないなどの方法で無理なくできる」