広島カープ「ファンの巣」閉店へ 交流の場惜しむ声 沖縄市の「島ごはん」


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広島カープファンが集う居酒屋「島ごはん」店主の西崎大地さん(右)と、閉店を惜しむ常連客の高島義彦さん=9日、沖縄市上地の同店

 【沖縄】プロ野球広島カープのキャンプ地である沖縄市で、カープファンが夜な夜な集まる居酒屋「島ごはん」(市上地)が7月いっぱいで閉店する。新型コロナウイルスの影響が長引き、店主の西崎大地さん(41)が閉店を決めた。節目の試合などでは多くのファンが詰めかけ、試合が映し出される画面に向かって声援を送ってきた。キャンプシーズンには県外から訪れたカープファンと地元住民の交流の場にもなってきたが、14年の営業に幕を閉じる。

 開店当初の3年ほどは野球色を出していなかった島ごはん。広島県の隣県山口県出身で、カープが好きだった西崎さんが大型テレビで野球を生観戦できるようにしたころから、野球ファンが次第に集まった。その後、カープや県出身選手のポスターやサイン、バットなどを集めて壁に飾ると、来店客からもカープグッズが寄せられ「ファンの巣」になった。

 カープの選手やコーチが店に訪れたことも。ただ西崎さんは「それよりもファンがこの場所で交流するのが好きだった」と話す。ある日、12球団中8球団のファンがカウンターで隣り合わせになり、15時間も続いた野球談義を見守った。

 最も印象に残るのは広島が25年ぶりのリーグ優勝を果たした2016年9月10日の夜。「狭い店にぎゅうぎゅう詰めのファンが来て、もう大盛り上がりだった」と目を輝かせた。「交流の場が失われるのは心残りだが、限界が来た」と肩を落とした。

 取材の日、小学生の頃から広島ファンという、常連客の高島義彦さん(71)も来店していた。店で過ごしたファン同士の時間を振り返りながら「8月からどこで過ごせばいいのか。居場所がなくなるのはさみしい」と悲しんだ。
 (島袋良太)