野鳥観察とムーチー作り 寒さ楽しみ自然味わう


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冬の漫湖周辺でさまざまな野鳥を観察する参加者ら=9日、豊見城市の漫湖水鳥・湿地センター

 旧暦の12月8日はムーチーの日で沖縄では最も寒い時期。年最低気温が観測されることも多く、この時期の寒気をムーチービーサといいます。本島南部にある漫湖ではこの時期に冬の珍しい野鳥に出合える可能性も高まります。ムーチー作りとコラボした新春野鳥観察会「ムーチービーサーで、ちゅううがなびら」が9日、豊見城市の漫湖水鳥・湿地センターで行われ、親子連れなど約20人が参加しました。ムーチー作りの体験と野鳥の観察を通して自然と関わる沖縄の文化を学んでもらおうと、環境省などが催しました。

 まずはムーチー作りから。センターの敷地内にある月桃の葉と、茎で作ったひも、黒糖味の餅の生地が用意してある会場で、さぁ準備万端と意気込む子どもたち。生地を手でこねて、鶏の卵より少し大きめの餅を葉で包み、茎で縛るカーサムーチー作りに挑戦します。
 「できた!」と大きな声を上げたのは佐藤龍乃介ちゃん(6)。「簡単だった」と得意気に周囲の人に作ったムーチーを見せて回ります。
 ムーチーを蒸す間、漫湖周辺を散策しながら干潟の冬鳥たちを観察します。冬の時期には漫湖に飛来する珍しい渡り鳥など約30種類の野鳥がいます。沖縄野鳥研究会の比嘉邦昭さんが講師となり、子どもたちは、サギやミサゴ、シギ、リュウキュウツバメといった野鳥を次々と発見しました。
 2度目の観察という比嘉心貴君(10)=島袋小4年=は「鳥の特徴が分かった時が楽しかった。ダイサギとか5~6種類の鳥を見つけた」と多くの種類の鳥を見つけ、名人顔負けです。「タカみたいな手を広げて飛んでいる鳥を見た」と話すのは小林奏太君(10)=石嶺小5年。長谷川蓬さん(8)=開南小2年=は「白い鳥がきれいだった」と目を輝かせます。
 観察を終え、室内いっぱいに広がる香りに「いい匂い」「ムーチーの香りだ」と歓声が上がります。比嘉仁愛さん(9)=島袋小3年=は、お母さんときょうだいの4人で参加し「みんなで14個作った。包むのが楽しかった」と笑みがこぼれます。小林颯季さん(12)=石嶺小6年=は「おいしいけど包み方を失敗して食べにくい」とムーチーと格闘。竹之内憩ちゃん(6)は「今回で4回目で前より上手になった」とにっこりです。
 ムーチーを食べて1年の健康を祈願した参加者。ムーチー作りや冬空の下の野鳥観察を通して、会場にはムーチービーサに負けない、元気いっぱいのはじける笑顔が広がりました。
文・崎原有希
写真・諸見里真利