抗議市民を網で囲い込み 民間人が〝身体拘束〟 埋め立て用土砂を搬出している本部塩川


社会
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市民を網で囲い込む警備員ら=24日、本部港塩川地区

 【辺野古問題取材班】名護市辺野古の新基地建設に伴う本部港塩川地区での土砂搬出で、沖縄防衛局から委託を受けた民間業者の警備員らが24日、基地建設に抗議する市民らを網で部分的に囲い込む対応を取った。この対応によるけが人などはいなかったが、市民らは「身体拘束だ」と批判。人権問題に詳しい識者は「網で活動を制止しなければならないほどの緊急性がなかったとすれば不当だ」と指摘している。

 今回の対応について、沖縄平和運動センターの山城博治議長は「警備員や防衛局職員らによる市民らの拘束は民間人による民間人の身体拘束、私的制裁だ。ゆゆしき人権侵害だ」と批判した。

 土砂搬出を監視している本部町島ぐるみ会議によると、同地区で警備員らがこうした対応を取るのは初めて。沖縄防衛局は同地区で24日午前7時ごろから正午ごろにかけて、岸壁に接岸している台船に大型車で土砂を積み込んだ。市民らは土砂積み込みを阻止するため大型車の前に立ちふさがろうとしたが、警備員らは市民らを追い掛け、1人につき複数人で網を使って部分的に囲い込んだ。

 市民からは「イノシシや鶏のような扱いだ」「警備員による拘束はやりすぎだ」といった抗議の声が上がった。今回の警備員らによる囲い込みについて、県港湾課は「(沖縄防衛局による港での柵設置の)事前の相談には含まれていない内容だ」とした。

 齋藤祐介弁護士は「身動きができないほどに拘束していれば違法。そうでなくとも、抗議活動は表現の自由の範囲で認められており、網で活動を制止しなければならないほどの緊急性がなかったとすれば不当だ」と指摘した。