ボクシング 勝利へ闘志燃やす 24日、中城村民体育館


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 プロボクシングの琉球ジムが主催する「日本・東洋太平洋世界前哨戦」が24日午後2時半、中城村民体育館で行われる。競技活動を支える母や父、ジム会長らへと勝利を届けるため、日本スーパーフェザー級の小谷将寿(同ジム)、日本スーパーフライ級2位で東洋太平洋11位の翁長吾央(大橋ジム)、西部新人王スーパーフェザー級決勝に立松良(ボクシングクラブナカザト)らが挑む。

◆翁長、「王者」へ手応え/二人三脚で右を磨く
 日本スーパーフライ級2位で、東洋太平洋11位の翁長吾央(沖尚高―東洋大卒、大橋ジム)は、タイ国のティエンチャイ・ソーカニットソーン=14戦10勝(2KO)4敗=と対戦する。
 沖尚高時代は選抜、インターハイ、国体の3冠を達成。現在、横浜の大橋ジムに所属するが、闘病生活を続ける父博三さんのために帰郷し、琉球ジムの仲井眞重春トレーナーと共に世界を目指す。初めて2人で組んだ昨年11月の復帰戦では、2回TKO勝ちを収めた。
 日本タイトル、世界を目指す上で「24日は絶対に落とせない試合」と話す。年明けから大橋でミニマム級元世界王者の八重樫東とのスパーリングを30ラウンドこなし、入念に準備を整えてきた。左ストレートでのカウンターが得意だが「左だけでなく、右アッパー、右フックと、右にも手応えを感じている」と翁長。仲井眞トレーナーは「11月の試合で復帰を果たし、気持ち的にも楽になったのでは。前より落ち着いた試合ができると思う」と話す。
 「チャンピオンになるぞ」と声に出しながら、仲井眞トレーナーとのミット打ちや同ジムのボクサーとのスパーリングに励む。「所属が違っても、同じシマンチュとして、沖縄からボクシングを盛り上げていきたい」と語る仲井眞トレーナー。翁長は「毎日言葉にも出し、寝る前にチャンピオンになったと紙にも書き、常に王者の自分の姿をイメージしている。僕が彼を世界一のトレーナーにする」。二人三脚で勝利をつかむ。

◆小谷、母の真心胸に挑む/韓国王者と再起戦
 7カ月ぶりの再起戦に挑むのが、日本スーパーフェザー級の小谷将寿(沖尚高卒、琉球ジム)だ。週末に迫る韓国フェザー級王者との戦いに向け「大きなチャンスが回ってきた。1回からKOを狙う」と意気込む。
 ハードパンチャーの小谷は、2007年のデビュー以来12戦10勝(9KO)を挙げた。だが、昨年7月に東洋太平洋6位に敗れ、2敗目を喫した。今回は韓国フェザー級王者で、東洋太平洋ランキング11位のリー・ナムジュン=12戦7勝(2KO)3敗2分け=が相手。
 仲井眞重次会長は「いかに自分の間から詰め切れるかが勝負。小谷は打ち込む力があり、パワー的に小谷が上」と期待する。小谷は「韓国の選手はインファイターで打ち合ってくる場合が多いが、打ち合いでは負けない。ジャブを突き、真っすぐのパンチを多く打ち込むボクシングをしてKOで勝つ」と本番を見据える。
 15キロの減量に取り組む小谷。日中は浦添中学校特別支援教室で特別支援員として勤務。出勤前に5キロを走り、仕事を終えた夜からジムでスパーリングを数ラウンド、自宅に戻った夜10時すぎから10キロを走り込む。
 ボクシングに打ち込む小谷を、父博さんは応援してくれているが、母美津子さんは今も反対している。「自分の息子が殴られるのを見たい親はいないと思う。でも自分にはボクシングしかない。才能もある。応援してくれる仲間も多い。あとは自分が努力してチャンピオンになるだけだ」
 試合を数週間後に控えたある日、母から新品のシューズを贈られた。自分では気付かなかったが、デビュー以来使い続けたシューズはボロボロになっていた。「自分のことを見ていてくれたんだと思いうれしかった」と小谷。「シューズをこの1試合で終わりにしたくない。絶対に勝つ」と、強い気持ちで再起を期す。(新垣梨沙)

◆30歳の立松良/西部新人王狙う
 昨年12月のデビュー戦でKO勝ちを飾った、スーパーフェザー級の立松良(ボクシングクラブナカザト)。24日は加藤亜礼史(折尾ジム)=4戦4勝=と対戦し、西部地区新人王を目指す。
 愛知県出身の30歳。元東洋太平洋スーパーバンタム級王者で、世界戦に3度挑戦した仲里繁会長の下で技を磨く。本番を想定して、今月7日には琉球ジムを訪ねてサウスポーのボクサーとのスパーリングを行い、左対策に努めた。「少しずつだが、左相手に感覚をつかめている。足をしっかり使って戦いたい」と意気込む。
 「勝つ気持ちを強く持てば大丈夫」と背中を押す仲里会長の存在が「何よりありがたい」と語る立松。「会長は自分の道しるべ。世話をかけている分、勝って喜びを分かち合いたい」と闘志を燃やす。
    ◇    ◇
 チケットはリングサイド前売り8千円(当日1万円)、一般前売り5千円(当日6千円)、小、中、高当日千円。チケットは琉球ジム(電話)098(893)6670、平仲ボクシングスクールジム(電話)098(856)7887で販売。問い合わせは両ジムへ。

「チャンピオンになるぞ」と気勢を上げながら、仲井眞重春トレーナーとのミット打ちに励む翁長吾央
7カ月ぶりの再起戦で「KO勝ちを目指す」と意気込む小谷将寿=宜野湾市の琉球ボクシングジム(渡慶次哲三撮影)
本番を想定してスパーリングを行う立松良