小谷、ランカー入り ボクシング日本・東洋太平洋前哨戦


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スーパーフェザー級8回戦 7回、リー・ナムジュンの顔面に右ストレートをヒットさせる小谷将寿(琉球ジム、右)=24日、中城村民体育館(花城太撮影)

 プロボクシングの中城村青少年育成チャリティー試合「日本・東洋太平洋世界前哨戦」が24日、中城村民体育館で行われ、スーパーフェザー級8回戦で、小谷将寿(琉球ジム)が韓国フェザー級王者で東洋太平洋11位のリー・ナムジュンに判定勝ちし、東洋ランカー入りを果たした。

スーパーフライ級8回戦は、日本同級2位で東洋太平洋11位の翁長吾央(大橋ジム)が、タイのティエンチャイ・ソーカニットソーンにKO勝ち。スーパーバンタム級8回戦は宮本達矢(平仲ジム)がタイのペッチジョントン・ソータナピニヨーにTKO勝ちした。同級西部新人王予選は、伊集優裕(琉球ジム)が判定勝ちで準決勝(5月、福岡)出場を決めた。

◆タイトルへ道開く/小谷、再起戦飾る
 KO率9割を誇るスーパーフェザー級小谷将寿のファンにとっては、判定は意外な勝ち方だったかもしれない。だが小谷は、7カ月ぶりの再起戦でこれまでにはない我慢を重ねたボクシングに徹し、タイトルを目指すための道を開いた。
 韓国フェザー級王者で、東洋太平洋11位リー・ナムジュンを相手に、小谷は初回からボディーを有効に当て、優位に試合を進めた。5回からはカウンターを狙ってきた相手に苦戦したが、焦ることなくいったん距離を取りジャブで応酬。その後も、相手の距離にならないよう注意を重ねた。
 「これまでなら、打てるものなら打ってみろと前に出ていた。でも前回のKO負けで学ばされた。パンチ力だけに頼らない試合運びができた」と小谷。「単発になった」ことを反省したものの、セコンドを務めた與那城信一トレーナーは「我慢を重ねて落ち着いてできていた」と評価した。
 再起に懸ける思いは強かった。週7回のスパーリングに加えて1日最低10キロを走り込み、試合前日までに16キロ減量。当日は母美津子さんから贈られたシューズで挑み、目の前でランカー入りを果たしてみせた。
 「見ている人たちには、退屈な試合だったかと思う。でも次はきれいにKOできるよう練習する」。トランクスに記された「倒し屋」の異名を取る小谷が、強く宣言した。(新垣梨沙)

◆伊集判定勝ち 準決勝に進出/西部新人王予選
 西部新人王予選に挑んだスーパーバンタム級の伊集優裕(琉球ジム)。左ストレートからの返しの右フックで優位に試合を進め、3―0の判定勝ちで準決勝(5月、福岡)進出を決めた。
 身長の高い相手との距離感に苦しんだが「待ちすぎず積極的に向かう」(伊集)ことで手数を出し、返しのパンチで有効打を奪った。前日の計量で1発クリアとならず、体重管理に課題を残したと反省する伊集。「新人王にエントリーしたからには、試合までの過程を大事にしたい」となお一層の精進を誓った。

◆翁長、鮮やかKO
 試合を決めたのは、強烈な左クロスだった。日本スーパーフライ級2位の翁長吾央(大橋ジム)は2回、タイ国のティエンチャイ・ソーカニットソーンの顔面に左ストレートをヒットさせると、右を打ってからの左のツーで、相手をキャンバスに沈めた。
 初回は、身長が高い相手の距離感に苦戦。相手のストレートに合わせようと放った右が1テンポ遅れ気味になった。どう切り込むか迷いが出たというが、セコンドの指示を受け「ツーで行こうと切り替えた」。それが早速、2回で生きた。
 翁長は「最後にいいのが当たった」と笑う。仲井眞重春トレーナーは「左のタイミングさえ合えば、どんな相手でもひっくり返せるのが彼の魅力」と話す。闘病を続ける父博三さんが、前日に一時退院したことも大きな励みになった。
 WBC世界フライ級タイトルマッチに挑む八重樫東(大橋)のスパーリング相手となるため、一度横浜へ戻る。同じ所属で「ライバル」と話す八重樫の拳を受けることで奮起し、沖縄から日本タイトル、そして世界を目指す。(新垣梨沙)

◆宮本はTKO勝ち
 日本スーパーバンタム級の宮本達矢(平仲ジム)は、タイ国ボクサーに3回TKO勝ち。ボディーを中心に上下に打ち分けて、相手から2度のダウンを奪い「狙っていたパンチで倒せて良かった」と安堵(あんど)の表情を見せた。
 試合前は、小谷将寿(琉球ジム)や翁長吾央(大橋ジム)とスパーリングを行い「これまでにないぐらいの仕上がり」と自信を持ったという。それだけに、序盤で気負い「振りが大きくなった」点を反省する。
 沖縄での支えや声援の多さに感謝するデビュー6年目の25歳。夢は「いつか古里で試合をすること」だ。出身地大分県での凱旋(がいせん)試合を目標に、ひたすら技を磨く。