政府施策に批判噴出 菅氏へ県内報道各社


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県内マスコミ各社を訪問し、普天間飛行場県内移設や「主権回復の日」式典に理解を求める菅義偉官房長官=3日午後、那覇市の琉球新報社

 菅義偉官房長官は3日午後、那覇市内の地元新聞社、テレビ局を相次いで訪れ、各社代表と意見交換した。報道機関側からは28日の政府主催の「主権回復の日」式典開催への疑義や、米軍普天間飛行場の県内移設に対する批判なども相次いだ。官房長官が特定の政策テーマをめぐり地方報道各社を訪問するのは極めて異例。

基地問題で反発が強まる沖縄の世論を和らげたいとの思惑がにじんだ。
 しかし、菅氏はこれまでの政府説明の繰り返しに終始。地元に寄り添う姿勢を強調し、政府の沖縄施策への理解を求めたが、政府と県民との受け止めの相違が浮き彫りなった形だ。
 琉球新報社の富田詢一社長はサンフランシスコ講和条約で、日本から切り離された沖縄を「里子」に例え、「子ども(沖縄)を里子に出した時点で主権回復の日とするのか。普通に考えれば帰って来た時が主権回復の日であり、どう考えても1972年5月15日ではないか」とし、沖縄が復帰した5月15日が本来の意味で「主権回復の日」ではないかと見解を示した。これに対し菅氏は「沖縄復帰の節目には政府と県の合同で記念式典をしている。今回の式典は衆院選でも公約した。沖縄に寄り添う形で開く」と、理解を求めた。
 沖縄テレビ放送の宮城真一専務は「県民の思いや歴史を考えると、どうしても式典、お祝いの日なのか、という思いは禁じ得ない」と疑義を示した。これに対し菅氏は「お祝いではない」と認識の違いを強調した。
 沖縄タイムス社の武富和彦編集局長は名護市辺野古移設に「知事も含め県内首長らも反対している。地元の頭越しだ」と批判。菅氏は「法律に基づき漁協から同意をもらった」と反論し、漁協の同意の上で手続きを進めたことを強調した。
 琉球放送の小禄邦男最高顧問は「中国、東南アジアの観光客が途絶えている。これも解決してもらえると期待する」と要望。菅氏は尖閣問題に触れ「エスカレートせず(日中の)戦略的友好関係を持てるよう取り組みたい」と述べた。
 琉球朝日放送は菅氏の訪問を非公開とした。