雨ニモ負ケズ 曽山さんと高萩さん 絵、書で犠牲悼む


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曽山尚幸さん(奥)と高萩正志さん=11日午後3時ごろ、那覇市の平和通り商店街

 新潟県出身の縁筆(えんぴつ)書家・曽山尚幸さん(30)=読谷村=と福島県出身の絵師・高萩正志さん(36)=東京都=は11日、東日本大震災の鎮魂への思いを込め、那覇市の平和通り商店街で書と絵を即興で描き上げた。

 震災発生時刻の午後2時46分に黙とう、1畳ほどの紙に宮澤賢治の詩「雨ニモ負ケズ」を記し、描いた大きな竜に命を吹き込んだ。
 末期の悪性リンパ腫を患い19歳で骨髄移植した曽山さんは、東北電力女川(おながわ)原発で6年の勤務経験を持つ。「雨ニモ負ケズ」を筆で丹念にしたため、竜のうろこに無数の「命」の文字を刻んだ。いわき市出身の高萩さんは紙の上に生まれた竜を前に、言葉を詰まらせた。「津波に連れ去られた魂、行方不明の命が一つになって天に向かうように描いた」と語った。曽山さんと高萩さんによる「二人展」は那覇市牧志にある沖縄アートギャラリーで16日まで開催中。11日に合作した作品も展示する。