南洋群島慰霊祭、県戦没者の冥福祈る 帰還者ら130人参列


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慰霊塔に向かって、手を合わせる慰霊祭参列者=26日、サイパン島の「おきなわの塔」

 【サイパンで当銘寿夫】1944年に太平洋戦争で旧南洋群島の住民が地上戦に巻き込まれてからことしで70年がたつ。第45回全南洋群島沖縄県人戦没者慰霊祭(主催・南洋群島帰還者会、県遺族連合会)が26日、サイパン島の「おきなわの塔」で開かれた。

帰還者やその家族、現地関係者約130人が出席し、旧南洋群島で戦争に巻き込まれ亡くなった1万2千人余の県出身者を弔い、同じ悲劇を繰り返してはならないと誓った。
 気温36、37度を記録する暑さの中、戦没者の遺族らは沖縄から持ってきたバナナやマンゴー、泡盛、ちんすこうなどの供え物を並べた。戦争中、多くの住民が水不足に苦しんだことから、水が入ったペットボトルも数多く供えられた。
 南洋群島帰還者会の平良善一会長は「南洋群島の戦争で県出身者が尊い命を失った。九死に一生を得た私たちにとって、片時も忘れることができない悲しみだ」と追悼した。
 県遺族連合会の照屋苗子会長は「住民がマッピー岬まで追い詰められ、悲惨な最期を遂げられたことは凄惨(せいさん)の極みだ。再びあの悲惨な戦争が起こることのないよう、世界平和実現のため一層努力することを誓う。心安らかにお眠りください」とあいさつした。
 長年、帰還者会の会長を務めてきた故・宜野座朝憲さんの長男、憲一さん(62)が「父の口癖だった、子や孫に南洋のことを伝えることと現地の人と友好親善を深めることに取り組んでいく。み霊がこれからの世界平和の礎となってくださることを願う」と遺族を代表してあいさつした。