向き合う基地問題 沖国大ヘリ墜落10年


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 2004年8月13日、沖縄国際大学の米軍ヘリが墜落した事故から10年を迎える前日の12日、同大や宜野湾市内で大学生が中心となって米軍基地問題について語り合うイベントが相次いで開かれた。

参加者は、過重な基地負担は「不正義」だと指摘し、「戦争に巻き込まれたくないし、巻き込みたくないから新基地には反対だ」など率直に意見を交わした。事故から10年が経過し、記憶の継承が課題となっている。会場は、新基地建設作業が強行される名護市辺野古に足を運んだという若者もおり、沖縄の今と真剣に向き合う熱気があふれていた。
 沖縄国際大では、シンポジウム「ジャスト・ピース~学生が考える『いちまでぃん戦(いく)さ世(ゆ)ー?』」が開かれた。海外識者が辺野古新基地建設反対などについて発表した声明の呼び掛け人、ジョセフ・ガーソン氏(アメリカフレンズ奉任委員会)とピーター・カズニック氏(アメリカン大学教授)、乗松聡子氏(ピース・フィロソフィー・センター代表)を招き、学生4人が登壇した。学生を中心に130人が来場した。基地問題を中心に、学生の立場でできる意思表示や現場を知る取り組みを紹介した。
 宜野湾市野嵩出身の元山仁士郎さん(22)=国際基督教大学3年=は合意で争いを解決することが「平和」とした上で、多数が反対する中で進む辺野古の基地建設を批判した。
 「行動に移すことで自分の意思を示す」と語った関西外国語大学3年の平良美乃さん(21)。辺野古の基地建設問題に同世代の関心を引くために作ったテレビ広告の替え歌を紹介した。
 大学で映画「標的の村」上映会を開催した取り組みを紹介した京都府出身で名桜大学2年の眞鍋詩苑さん(21)は「沖縄だけに基地の負担が集中していることに違和感を覚える」と話した。
 沖縄市出身の友寄元樹さん(22)=琉球大学4年=は「戦争の被害者にも加害者にもなりたくない」と強調した。
 学生から「アメリカは民主主義国か」と質問を受けたカズニック氏は「民主主義だった時もあるが、帝国主義に変わった。沖縄はその拠点を担わされてきた」と答えた。「平和とは何か」という来場者からの質問に、ガーソン氏は「沖縄の『命どぅ宝』こそ真の平和だ」と答えた。乗松氏は「行動する学生たちの思想の奥深さに感動した」と語った。
 主催は沖国大平和学ゼミと世代を超えて平和を考える団体「ニュー・ウエーブ・トゥー・ホープ」。
英文へ→Ten years since U.S. helicopter crashed into Okinawa International University: Students hold a symposium at university

登壇した(左から)ジョセフ・ガーソン氏、ピーター・カズニック氏、乗松聡子氏
登壇した(左から)友寄元樹さん、眞鍋詩苑さん、平良美乃さん、元山仁士郎さん=12日、宜野湾市の沖縄国際大学
登壇者の話に熱心に耳を傾ける若者ら