自分流に盛り上がれ! ハロウィーン、沖縄でも定着


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思い思いに仮装し、音楽に合わせてダンスを楽しむパンプキンパニックの参加者たち=10月25日、ミュージックタウン音市場

 「ハッピーハロウィーン」。日も暮れ、薄暗くなった10月25日午後6時すぎ。ゾンビやミイラ、天使のコスチュームなど思い思いに仮装した人の行列が、沖縄市のミュージックタウン音市場に集まった。大人たちがハロウィーンを楽しむ「パンプキンパニック2014」(同実行委員会主催)の始まりだ。祖先がこの世によみがえるアイルランドケルト民族の祭りが起源のハロウィーンは沖縄でも定着している。

正々堂々と変身
 ことしの参加者は600人で、仮装率はほぼ100%だ。参加者の8割は女性。20代が多いが、40、50代の人たちの姿も。
 妻の道代さん(41)と参加した大角嘉治さん(47)=那覇市=は2万円かけて2人でディズニーのキャラクターにふんした。髪も体も青く塗った。「1年でこの日だけは正々堂々と変身していい日だから楽しい」と話す。
 告知は口コミとインターネット交流サイト、フェイスブックが中心で、参加した人がリピーターとなり、ネット上で人を呼ぶ。実行委の天願順貴さん(26)=うるま市=と照屋泰樹さん(26)=カンボジア在住=は「パンプキン―」の観光資源化を目指す。「沖縄はちゃんぷるー文化がある。ハロウィーンでいろんな人を巻き込める」と意気込む。
 10月31日、ハロウィーンの夜。北谷町美浜のアメリカンビレッジは毎年恒例の「ハロウィーンミハマ2014仮装コンテスト」(同実行委主催)でにぎわっていた。220組が出場した。日本語と英語で出場者が紹介される。人々の視線が集まるなか、出場者はカーペット上を歩き、向けられたカメラにポーズで応えていた。

世代超えた行事に
 一般社団法人日本記念日協会は、ハロウィーンの市場規模を1100億円と推計する。ハロウィーンに合わせたパーティーが定着し、関連商品を扱う店が増えているという。
 沖縄市の商店街では「トリック・オア・トリート」の声が飛び交った。オレンジや黒のマント姿の子どもたち約200人が列になって練り歩く「ハロウィンタウンinコザ」(沖縄市コザパルミラ通り会主催)だ。琉球ドラゴンプロレスの覆面レスラーも駆け付け、子どもたちに商店街の店主らがお菓子を配っていた。
 パーティー、仮装コンテスト、街おこし。沖縄でもハロウィーンは多くの世代になじむ行事になった。「外国の文化」ではなく「アレンジして自分流に楽しむ一大行事」になっている。
文・東江亜季子
写真・金良孝矢
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街づくり発展も/喜納高宏さん 沖縄市国際交流協会
 ハロウィーンが日本、沖縄の社会で定着してきたのは最近10年くらいだ。沖縄市は、その以前に米軍基地内からコザの街に人が出てきて、外国人も一緒に仮装コンテストなど祭りをしていた。オフリミッツや2000年以降の同時多発テロ、リーマンショックなどの影響で外国人が減っていった。現在はハロウィーンのイベントで多文化共生のまちづくりをしようと試みている。
 一方、日本社会でハロウィーンはコスプレ文化の感覚で人々に浸透してきた。誰でも変身願望はある。仮装がその願望にマッチし、はやってきている。
 ハロウィーンのイベントは楽しく、若い人も集まりやすい。コザや北谷町美浜など、ハロウィーンがなじむ街もある。現代はSNS(インターネット交流サイト)を使えば情報が一気に広がるし、楽しさやにぎわいの演出も可能だ。
 街の人がハロウィーンを商業的に捉え、イベントをする人と、街の人がつながることで、街づくりに発展させることができる。