「島野菜はお友達だよ」 歌って踊って親近感


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
紀々さんと一緒に、うれしそうに「島やさいのうた」を歌い、踊る可愛保育園ひまわり組の園児たち=15日、宜野湾市(金良孝矢撮影)

 「僕は島野菜 私も島野菜 名前はおまじないみたいでしょ? でも、君の元気の味方だよ~」。宜野湾市の可愛保育園(新垣則子園長)の一室で、子どもたちが音楽に合わせて楽しそうに歌い、踊る。「ゴーヤー、ナーベーラー、ハンダマ、フーチバー、シブイ…」。歌詞には島野菜の名前が次々に登場。歌い終わると「野菜大好きー」と元気いっぱい教えてくれた。島野菜はすっかり、園児たちの“友達”だ。

 なじみやすい琉球音階とリズム感のある歌詞。子ども心を捉える「島やさいのうた」を作詞作曲したのは“哲楽家”の紀々さん(39)だ。島野菜を中心に沖縄の伝統的な食を通して、肥満解消などを目指す食の介入研究「チャンプルースタディー」に取り組む等々力英美琉球大学准教授に協力したいと、ことし4月に歌と踊りを完成させた。
 「子どもが楽しく歌っているうちに野菜に親しみを持ち、気付いたら野菜好きになってくれれば」と紀々さん。肥満割合が全国一高い県内では食生活の改善が喫緊の課題だが、大人は食生活や行動をなかなか変えられない。「でも、わが子の健康を守るためなら大人は頑張れる。子どもに『食べたい』と言われると野菜も食卓に上るようになる。子どもにしか届かない特別なスイッチがあると思うんです」
 効果はてきめんだ。同園では9月の祖父母お招き会に向け、8月から練習を始めた。娘の美結ちゃん(5)が同園に通う儀間香副園長(33)は「ゴーヤー嫌いだったのに、いつの間にか『好きだからもっと入れて』と言うようになった」と笑う。宮里成彦ちゃん(5)と野里夏芽ちゃん(5)は「歌うと優しい気持ちになる。島野菜好きだよ」とはにかんだ。
 歌を通じて親子や地域の健康づくりを目指す紀々さん。「心と食は別々じゃない。子どもは感性が豊かなので野菜と友達になれば食べてくれる。宝である子どもの健康を守るため、多くの人と楽しく食育に取り組みたい」と力を込めた。(佐藤ひろこ)

<メモ>島やさいのうた
 島野菜に親しんでほしいと26種類の島野菜の名前を歌詞に盛り込んだ。振り付けの原型はあるものの、子どもたちの年齢などに合わせて既に幾つかのバージョンが生まれている。別の曲「やさいのきもち」と合わせ、県内外の食育現場で広がりつつある。紀々さんは「学校や保育園で活用してほしい」と話している。ホームページ(www.kikism.net)からダウンロードできる。