翁長知事の年頭あいさつ全文


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 翁長雄志知事が5日午前に行った県職員向けの年頭あいさつは次の通り。
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 はいさい、ぐすーよー、良い正月(しょうぐゎち)でーびる。職員の皆さん、あけましておめでとうございます。職員の皆さまには、ご家族ともども輝かしい新春を迎え、ますますご健勝のこととお喜びを申し上げる。

 私は昨年11月の県知事選で有権者多数の支持を得て当選した。県民の負託を受け、県政を預かる重責を与えられたことに大変、身の引き締まる思いだ。とはいえ、昨年12月10日に就任以来、まだ1カ月弱だ。
 その間、職員の皆さまには今日までの県政の経緯、流れに関するレクチャーをはじめ、県議会12月定例会の運営、東京要請行動などのサポートを受け、年を越すことができた。今後とも職員の皆さまと心を一つにして、県民のご期待に添うべく力を合わせて誠心誠意取り組む決意だ。
 今年は沖縄戦が終結し、70周年を迎える。この70年間に、筆舌に尽くしがたい労苦に耐え、今日の沖縄県の発展を築いてこられた先達の皆さまに敬意を払うとともに、この節目を今後の沖縄県の飛躍的な発展の元年にすべく、知事選の公約のスローガンである誇りある豊かさを実現するために全力を尽くしたい。
 かつて、私たちは自らが持ってきたわけではない基地を挟んで、経済と生活か、平和と尊厳かと常に厳しい二者択一を迫られてきた。しかし、社会情勢の変化とともに、この両者は決して相反するものではなく、県民一人一人が共有できるようになってきた。
 今、私たちに強く求められているのは、次の時代を担う子や孫の世代に禍根を残すことのない責任ある行動だと思う。
 県政運営に当たっては、大いなる可能性を秘めた沖縄のソフトパワーである自然、歴史、伝統、文化を大切にし、守り、育てる。琉球王朝時代の万国津梁の精神を持ってアジアを中心に世界の架け橋としての役割を存分に発揮していく。いちゃりばちょーでー、ちゃんぷるー文化という言葉に表される沖縄独特の魅力で成長著しいアジアの経済発展、ダイナミズムを引き寄せ、それらを調和させる中で沖縄経済発展につなげたい。
 そして日本のフロントランナーとして、日本とアジアの懸け橋となる役割も担っていきたい。このような認識の下、今年はアジア経済戦略構想の策定を本格化させ、那覇空港を拠点に県内とアジア各地を結ぶ国際物流貨物事業や情報通信産業の拠点化、国際観光リゾート産業などを有機的に結合させることが沖縄経済発展の鍵を握ることになると思う。
 また、県政の戦後一貫しての重要課題である米軍基地問題については、選挙公約である建白書の精神に基づき、県民が心を一つにして普天間基地の県外、国外移設、新辺野古基地建設は許さないということを国内外へ向けてしっかりと働き掛けていきたい。
 特に今回の知事選で訴えてきた日本の安全保障は日本国民全体で考えてもらいたい、あるいは今や基地は沖縄経済発展の最大の阻害要因である、との意味合いは県民にはしっかりとご認識をいただけたものと思う。本土の方々にもじわじわとご理解していただけたものと考える。今後、日米両政府ともしっかりと議論していきたい。
 沖縄らしい優しい社会の構築としては、潤いのある県民生活、自治体による平和外交、個性あふれる魅力的な離島の活性化などゆいまーるの精神を広く共有するために人が人を支え合う、助け合うことを理念として、各41市町村が熱心に取り組んでいる協働のまちづくりを県全体でネットワーク化する。県民一人一人がボランティア、NPO、自治会活動などへ主体的に参加できるような仕組みづくりをしていきたい。
 昨年は全国学力学習状況調査で小学校が飛躍的に改善し、全国水準に達した。興南高校ハンドボール部が全国3冠を達成するなどさまざまな分野で沖縄の未来を担う若い世代の活躍があった。未来を担う子や孫がふるさと沖縄に誇りを持ち、勇気を希望に目を輝かせ、力強く羽ばたいていけるよう公約一つ一つの実現に全力を尽くしたいと思う。
 職員の皆さまとこれから一緒に県政を運営していくことになるが、県庁は県民一人一人の幸せ感、充実感を一歩一歩前に進める大きな使命がある。
 県民の笑顔をお互いの充実感、幸福感とし、県庁職員になって良かった、公務員になって良かったという思いをそれぞれが共有し、健康に留意され、各部局長と心を一つにしていかなる困難にも勇気と情熱を持って対処し、県民の期待に応えるようお願いする。
 まさしく県庁が沖縄発展をリードするとの気概で頑張っていこう。私も先頭に立ち、全力で頑張ることを誓う。皆さま方にとって本年が良い年となるようお祈りし、ご家族の皆さま方のご健勝とご多幸を祈念申し上げ、年頭のあいさつとする。いっぺー、にふぇーでーびる。ゆたさるぐとぅ、うにげーさびら(どうもありがとうございます。よろしくお願いします)。