ママと一緒、元気だゾウ こどもの国にゾウの赤ちゃん


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 沖縄こどもの国(沖縄市)の人気者、インドゾウの琉花が3月4日、元気な雌の赤ちゃんを産みました。ゾウの出産は県内で初めて。国内でも11例目です。ゾウの赤ちゃんって、人間の赤ちゃんと似ているんでしょうか。それとも違うんでしょうか。どきどきわくわく、赤ちゃんゾウと琉花お母さんに会いに行ってきました。

 みんなはお母さんのおなかにどのくらいいたか、体重何グラムで生まれたか知っていますか? 人間の妊娠の期間は約10カ月。ゾウはその約2倍の22カ月です。赤ちゃんゾウは体重100キロで誕生し、すぐ立って歩きました。4月23日時点で約160キロに成長していました。大人の雌は体重約3トンにもなるそう。琉花お母さんも2.6トンです。
 スタッフに「チビ」「お姫様」と呼ばれかわいがられている赤ちゃんゾウの1日は人間の赤ちゃんとそっくりです。起きる、おっぱいを飲む、遊ぶ、寝る、うんちやおしっこをする。それを繰り返しながら昼間の起きる時間が長くなり、夜ぐっすり眠るようになります。飼育係の普久原学さんはびっしり書き込んだ「育児日誌」を見せ「人間の子どもとよく似ている。全部かわいい」と目を細めます。
 立派なお母さんぶりを発揮している琉花は食欲旺盛でガジュマルやススキ、バナナ、ヤシなど、1日約120キロのエサを食べます。出産前は食べ物の好みが変化したそうでここも人間とそっくり。おっぱいは人間と同じ胸の外側あたりに二つあり、「こっちを飲んで」とチビを鼻で上手に誘導します。
 実は動物園スタッフは初出産に向けどきどきでした。野生のゾウは女系の群れで暮らし、出産も周りがサポートするそう。母ゾウは不安や痛みでパニックを起こすこともあるそうですが、琉花は出産後すぐ母乳をやり、夜も寝ずにチビの様子を見守っていました。動物園課長の大宜見こずえさんは「先輩ママもいない中、琉花は落ち着いてよく頑張った。尊敬する」と優しく語ります。
 さあ、母と娘が大好きな外遊びの時間。人なつっこくて好奇心旺盛なチビはスタッフと遊ぶのが大好きです。ヤシの枝を上手に割り、口に運ぶ母の姿を見てチビもお勉強。まだ歯は生えていませんが、鼻で草を寄せて食べるまねをします。お気に入りの場所はお母さんのおなかの下。ほっと安心な様子です。
 そうそう、お父さんの琉人は別の場所で少し寂しそうですが、野生の雄はずっと単独行動するそうです。
 大人も夢中になる母と娘の仲むつまじい姿。大宜見さんは「こどもの国にいる動物それぞれの個性、魅力を見に来て」と話しています。
文・座波幸代
写真・又吉康秀

◆赤ちゃんの名前募集中!
 沖縄こどもの国はゾウの赤ちゃんの名前を募集しています。締め切りは5月10日、命名式は24日を予定しています。毎日午前11時と午後3時、赤ちゃんの様子を見ることができます。

仲むつまじい琉花お母さんと赤ちゃんゾウ=4月23日、沖縄市の沖縄こどもの国
遠足の児童などお客さんが大勢集まる中、お母さんのおっぱいをのんびり飲む赤ちゃんゾウ