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【糸満】「プォー、プフォー」。海人の歴史と文化を発信する糸満市西崎町の「糸満海人工房・資料館」から、遠くまで響くほら貝の音が聞こえる。同資料館ボランティアスタッフの城野豊さん(65)は現在、沖縄や東南アジアで採れる巻き貝で笛を作る研究をしている。「どうしたら美しい音が出るのか」。日々、自作のほら貝を吹き鳴らし、試行錯誤を重ねている。
ホラガイは、沖縄の海で生息する巻き貝だ。糸満各地の綱引きや同市新垣の伝統行事「棒巻き」では、場を清めるためにほら貝を鳴らす。
同資料館にもさまざまな大きさのほら貝が展示されており、城野さんは興味を持った。「よし、ホラを吹こう」と決意し、昨年冬からほら貝の製作を始めた。
「歌口」と呼ばれる吹き口には、同資料館のシンボルであるモンパノキ(方言名ハマスーキ)を使っている。「歌口の長さや太さで音が変わる」と城野さんは話す。木を小刀で削り、理想の歌口作りに励む。
ホラガイだけでなく、タカセガイや夜光貝でも笛を製作した。「ミクロネシアなどで採れる巻き貝の笛には、歌口がついていない。貝に直接穴を開けて吹く。いろんな貝の鳴らし方がある」と説明。大小さまざまな貝に息を吹き込む穴を開け、音色を確かめている。
目標は、糸満市で“ほら貝オーケストラ”を結成することだ。城野さんは「吹奏楽部で鍛えた子どもたちは、僕よりもずっと上手にほら貝を吹くことができる。いろんな音階のほら貝を作って市民に吹いてもらいたい」と笑顔で語った。(赤嶺玲子)