豊作願い“力勝負” 伊是名伝統の綱引きウンナー


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東西に分かれ、懸命に綱を引き合う住民、観光客ら=7月30日

 【伊是名】稲の豊作を祈願する伊是名村の伝統行事「ウンナー」が7月30日、同村勢理客で行われた。集落で収穫された稲わらを持ち寄って編んだ綱を引き合う大綱引きが公民館前で深夜に行われ、住民や島外に住む地元出身者、観光客ら多数が参加して東(あがり)と西(いり)の各チームに分かれ、懸命に綱を引き合い、豊作を願った。

同村内では8月1日に仲田区、8月9日には諸見区と伊是名区でそれぞれウンナーが行われる。
 幕開けは午後7時半すぎ。住民らは歌三線や一斗缶に持ち手を付けた太鼓「バク」を打ち鳴らし、集落を練り歩き始めた。集落の拝所でカチャーシーを舞った後、東と西に分かれ、稲作農家やこの1年で「子どもが誕生」「家を新築」「区外から引っ越してきた」など、動きがあった家を1軒ずつ回ってにぎやかにカチャーシーを舞った。勢理客出身の名嘉睦稔さん(61)も地謡を務めた。
 午後9時46分ごろ、東西が再び合流し担いだ板の上で男たちが2人対2人で激しく組み合う「スナイ」では西が勝った。午後10時すぎから始まった大綱引きでは西、東の順に勝った後、勝負の3本目では東が優勢だったが、時間切れで引き分け判定の声が上がった。
 綱引きの後、運動場では綱で輪を作り、子どもたちが中心に出場する沖縄角力大会が行われた。一方、公民館前でも綱で輪を作り、酒を酌み交わしながらカチャーシーなどが未明まで行われた。
 見物客には、りんけんバンドの照屋林賢さん、名嘉さんの誘いで来島した県出身の人気ロックバンド・モンゴル800のボーカル、上江洌清作さんの姿もあった。上江洌さんは一緒にカチャーシーを舞っていた。勢理客区長の儀間善光さん(58)は「ことしは那覇の郷友会からも50、60人が来ており、うれしい。盛り上がってよかった」と喜んだ。