ROKに九州最優秀賞 民放連“障がい者と沖縄戦”番組に


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民放連九州沖縄地区で最優秀賞に輝いた金城奈々絵さん=5日、那覇市のラジオ沖縄

 ラジオ沖縄(ROK)が5月30日に放送した戦後70年企画「封印された三十一文字(みそひともじ)」が、2015年度の日本民間放送連盟(民放連)の九州沖縄地区ラジオ・教養部門で最優秀賞を受賞した。

企画・取材を担当した金城奈々絵さん(32)は「不発弾で盲目になってしまった沖縄の歌人、詩人の真喜屋実蔵さん(享年29)と彼の短歌を世に出した故・塩谷治さんを通して平和の尊さについて考えさせられた」と話した。
 金城さんは毎週日曜日午前7時から「思いやり交差点」という番組を担当しており、視覚障がい者を取材してきた。
 「封印された~」にも出演した戦争体験者でもある県視覚障害者福祉協会の山田親幸会長から「障がい者と沖縄戦の関係についても取り上げてほしい」との依頼もあり、不発弾による事故で9歳のころ失明した真喜屋さんと早稲田大学の同窓で真喜屋さんを支えた塩谷さんについて取材を始めた。
 県出身の視覚障がい者で初めて大学に進学した真喜屋さんだったが、1960年代は視覚障がい者への支援がなく苦学が続いた。真喜屋さんは精神疾患の影響で68年8月15日に29歳で自殺したが、親交のあった塩谷さんが2013年に真喜屋さんの遺作を遺稿集「春想」として自費出版。番組は2人の人生やことし2月に沖縄盲学校の児童らが真喜屋さんの作品を朗読する様子のほか、塩谷さんの妻・靖子さんのインタビューを放送し反響を呼んだ。
 金城さんは「悲惨な戦争から立ち上がって福祉のバトンをつないできた人たちの力強さを感じた」と語った。「封印された三十一文字」は19日午後6時半から再放送予定。