オスプレイ陶器で12機 読谷の壹岐さん制作


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陶器のオスプレイを制作する壹岐幸二さん=7日、読谷村長浜の陶芸工房「壹」

 【読谷】読谷村長浜にある陶器工房「壹」の陶芸作家・壹岐幸二さんが、陶器でオスプレイを制作している。全12機の陶器製オスプレイを焼き上げ、10月初めごろに完成する予定だ。

「プラモデル好きが興味を持つだけでもいい。ただ、オスプレイが身近にあるという現実を、少しでも意識するきっかけをつくりたい」と語る。
 作品のタイトルは「What’s going on?」。さまざまな現状に対して、頭の中に浮かぶ「一体どうなっているんだ?」というつぶやきがテーマになったという。
 制作されたオスプレイの中には、墜落したような形につぶれているものもある。尾翼には機体番号も刻まれており、リアリティーを追求した。通常の陶芸作品と制作方法が大きく異なり、「思った以上に苦労してる」と苦笑した。
 壹岐さんは京都府から移り住んで約30年、沖縄で生活してきた。その中で、県外出身者だからこそ感じることもあり、その最たるものが「なぜ沖縄にだけ、これほど基地が集中しているのか」という思いだという。
 県外の人と基地やオスプレイの話をする際、沖縄の現状についての認識に大きな距離感と違和感を覚え、その感覚が創作のきっかけとなった。
 「作品を通して善しあしを言うつもりはない」と強調しつつ、「12機のオスプレイが並ぶだけで異様な光景だと思う。そこから何かを感じ取ってほしい」と語った。
 作品は東京都渋谷区神宮前にある「GALLERY TAO」で、10月16日から開かれる壹岐さんの個展に展示される予定だ。