沖縄の苦難の歴史強調 国連でシンポ、基地問題を討議


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沖縄の軍事化と人権問題を主題に問題を発表する登壇者=21日午前11時(日本時間同日午後6時)すぎ、スイス・ジュネーブの国連欧州本部

 【ジュネーブ21日=島袋良太】スイス・ジュネーブの国連欧州本部で21日午前(日本時間同日夜)、シンポジウム「沖縄の軍事化と人権侵害」が開かれた。国連演説に先立ち、シンポジウムで約20分講演した翁長知事は、沖縄はかつて独立国だったが、日本に併合されたことに言及し、20万人の犠牲者を出した沖縄戦の後、70年にわたり過重な基地負担が続く歴史を振り返り「県民の自由と平等、人権と民主主義、自己決定権が無視されている」と訴えた。

 シンポジウムは国連NGO市民外交センターや反差別国際運動(IMADAR)、沖縄「建白書」を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議などの共催。人権や環境などの側面から、名護市辺野古の新基地建設が抱える問題点を討議した。
 沖縄・生物多様性ネットワークの吉川秀樹共同代表は辺野古新基地建設の環境影響評価手続きが専門家に「日本史上最悪」などと酷評されていることを紹介した。「世界の科学者や専門家にも新基地建設が沖縄の人々と環境に与える影響を調べてほしい」と呼び掛けた。
 市民外交センターの上村英明代表は琉球国と修好条約を結んでいた米国が日本の琉球併合を黙認し、戦後は沖縄を軍事的に直接統治した経緯を紹介した。その上で「沖縄返還後も米国は日本政府の陰に隠れ、基地を拡大強化してきた。米国の責任も重大だ」と述べた。
 潮平芳和琉球新報編集局長は、辺野古で新基地建設に抗議する市民が警察ともみ合いになり逮捕される事例も起きていると報告した。海上保安官が市民に馬乗りになる過剰警備もあると報告し「表現、集会、報道の自由を威圧する行為だ」と指摘し、県民が同意していない新基地建設をやめることこそが重要だとの認識を示した。