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若き才能輝く 大舞台 第8回伝統芸能「若衆芸術祭」


若き才能輝く 大舞台 第8回伝統芸能「若衆芸術祭」 <県知事賞>舞踊部門・是井陽菜乃(左)、音楽部門・知念清太
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 沖縄の伝統芸能の担い手育成を目的とした第8回おきなわ伝統芸能「若衆芸術祭」(琉球新報社、沖縄芸能連盟主催)が12日、那覇市の琉球新報ホールで開かれた。伝統芸能の担い手を目指す小中学生約100人が出演し、積み重ねた修練の成果を披露した。表彰式は3月3日午後1時から琉球新報ホールで開く。


<県知事賞>音楽部門・知念清太 歌の思い 大事にして

 音楽部門・県知事賞は、琉球古典野村流音楽協会の知念清太(具志川東中2年、「かぎやで風節」)が受賞した。

 指導する父の勝三は「自主的に練習するなど、公演に臨む姿勢に成長を感じる。楽しみながら続けてほしい」と背中を押す。

 清太は本番について「父から楽しんでやるように言われて肩の力が抜けた。県知事賞が取れてうれしい」と喜ぶ。清太は7歳から本格的に三線を始め、父と一緒に民謡の舞台にも立つ。「三線一つで会場が一体になって盛り上がるのが魅力。歌に込められた思いを大事に伝えていきたい」と語った。


<県知事賞>舞踊部門・是井陽菜乃 目標達成 楽しさ知る

 舞踊部門・県知事賞は、玉城流扇寿会山川昭子・上江田キサ琉舞道場の是井陽菜乃(静岡県浜松市立南陽中2年、「鶴亀節」)が受賞した。

 月2回浜松に通い、是井を指導した山川は「真剣に挑戦してくれて、教えがいがある。県外でも琉舞を頑張る子がいると知ってもらえた」と喜んだ。

 舞踊は祖母の誘いで小学校1年から始めた。昨年の6位超えが目標だったが、最高賞に当たる県知事賞だ。「とにかくうれしい」と声を弾ませる。「若衆芸術祭に出て目標達成できて舞踊の楽しさが分かった。次は新人賞を目指したい」と意気込んだ。


<県教育長賞>我如古奈海「稽古重ね苦手克服」 兼次優「胸張って一生懸命」

<県教育長賞>兼次優
<県教育長賞>我如古奈海

 県教育長賞は、音楽部門を琉球箏曲興陽会中本きよみ・伊波勢津子研究所の我如古奈海(なみ)(真和志中1年、「地菅撹(じーすががち)・船頭節」)、舞踊部門を玉城流扇寿みゆき会浦崎みゆき琉舞道場・玉城流扇寿会金城真次琉舞道場の兼次優(浦城小6年、「秋の踊り」)が受賞した。

 我如古は昨年に続く受賞。苦手だった左手の奏法を特に意識して稽古を重ねたと振り返る。「『地菅撹』は思うように演奏ができた。来年は県知事賞を目指したい」と意気込んだ。

 兼次は「指導者や仲間と協力して、胸を張って一生懸命踊った」と振り返る。次回は新人賞を目指す。「しっかり稽古を頑張りたい」と声を弾ませた。


<琉球新報賞>大城昇馬「高音 稽古が結実」 座波優月「成長の糧」

 琉球新報賞は、音楽部門を琉球古典音楽野村流音楽協会の大城昇馬(瀬底小4年、「恩納節」)、舞踊部門を玉城流扇寿みゆき会浦崎みゆき琉舞道場・玉城流扇寿会金城真次琉舞道場の座波優月(ゆづき)(石嶺小6年、「秋の踊り)が受賞した。

 大城は「緊張したけど稽古を頑張った成果が出せた」と語る。高音が続く部分も「うまくできた」と胸をなで下ろす。目標は「最高賞と師範まで取りたい」と意欲を見せた。

 座波は「家族や先生の応援が支えになった」と感謝する。初めての大舞台で焦りもあったが、楽しむ気持ちを大事にしたという。「自信がつき、成長につながった。新人賞を目指したい」と決意した。


<若衆大賞>

 【音楽】永野鈴維寧(りいね)(琉球古典音楽野村流音楽協会、安慶田中2年、「かぎやで風節」)

 【舞踊】金城希歩(のあ)(玉城流糸和会稲嶺ひとみ琉舞道場、山田小5年、「前の浜」)


<選考委員長賞>

 【音楽】徳八流太鼓保存会下地麻実太鼓研究所(川満友里愛、下地海璃)器楽合奏「松本節」

 【舞踊】玉城流糸和会稲嶺ひとみ琉舞道場(山城希織、金城希歩(のあ)、山城奏愛(かなあ)、イーマン喜衣(じょい))「前の浜」


<若衆優秀賞>

【音楽・個人】

▽山城希織(琉球古典音楽野村流音楽協会)「かぎやで風」

▽兼謝名百花(同)

▽中島和奏(同)

【音楽・団体】

▽琉球古典音楽野村流音楽協会(兼城瑠莉亜、宇根底咲希、大城和奏、千野心海、島袋愛麻、屋嘉比佐和、富田百々花、上原一花、末吉花、宇榮原穂和、大城奏楽、大城愛琉、上地秋寧、比嘉一晴、上運天拓都、徳田佳音、大城昇馬)琉球古典音楽斉唱「かぎやで風節・恩納節・かたみ節」

▽琉球古典音楽野村流音楽協会(比嘉一晴、屋嘉比康虎、上運天拓都、大城昇馬、知念清太)琉球舞踊地謡「秋の踊り」

▽琉球古典音楽野村流音楽協会(末吉花、宇榮原穂和、大城奏楽、大城愛琉、上地秋寧)琉球舞踊地謡「上り口説」

▽琉球箏曲興陽会中本きよみ・伊波勢津子研究所(我如古奈海、野口唯花、宮城李椛、宮里陽菜)琉球箏曲斉唱「地菅撹・船頭節」

【舞踊・個人】

▽イーマン喜衣(玉城流糸和会稲嶺ひとみ琉舞道場、「前の浜」)

▽山城奏愛(同)

▽山城希織(同)

▽伊波由彩(玉城流翔節慶乃会金城末子琉舞道場、「上り口説」)

▽安富祖穂(同)

▽金城歩愛(同)

▽加藤朱莉(玉城流扇寿会山川昭子・上江田キサ琉舞道場)「鶴亀節」

▽比嘉李莉(親泊本流親扇照志野の会親泊ナミ琉舞研究所、「湊くり節」)

▽座間味優(同)

▽加納美華(同)

▽當山若菜(同)

【舞踊・団体】

▽安座間本流大北満之会山城亜矢乃琉舞研究所(平田千沙、山内かのん、金城美弥子)「かぎやで風」

▽安座間本流大北喜羽の会神谷みつ子琉舞研究所(仲宗根芽愛、佐久川愛海、當山かりん、山岸芽依、諸見里琉生)「上り口説」

▽玉城流扇寿会與那國恵琉舞道場(久手堅未來、久手堅由奈)「上り口説」

▽玉城流翔節慶乃会金城末子琉舞道場(伊波由彩、安富祖穂、金城歩愛)

▽玉城流冠千会伊佐幸子・玉那覇ロミナ琉舞研究所(仲嶺燦里、川田真也)「上り口説」

▽玉城流扇寿みゆき会浦崎みゆき琉舞道場、玉城流扇寿会金城真次琉舞道場(座波優月、兼次優)「秋の踊り」

▽玉城流扇寿会山川昭子・上江田キサ琉舞道場(是井陽菜乃、加藤朱莉)「鶴亀節」

▽親泊本流親扇照志野の会親泊ナミ琉舞研究所(比嘉李莉、座間味優、加納美華、當山若菜)「湊くり節」


<<審査講評>>

 全体的に向上して、いい演舞、演奏ができていた。舞踊の方は良くなっていたが、周囲とそろえて踊るのに夢中になり、技が入ってない受験者もいた。そろえて踊ることも必要だが、一つ一つの形をきちっと教えるのも大事だ。

 斉唱で大切になるハーモニーは全体的にできていた。独唱は、後半になってからのミスが目立った。少し練習不足かもしれない。発音や節回しができていた受験者は得点が高い。だが、三線は音がしっかり聞こえても歌が聞こえない受験者がいて、もったいなかった。箏に関しては調弦が最初から少し緩い部分があり、不安になって実力が出せなかった受験者もいたと思う。先生方は調弦を事前にしっかりやってほしい。爪が演奏中に取れてしまった受験者もいたが、最後まで一生懸命弾いていた。

 今回、太鼓が初参加だった。今後胡弓(こきゅう)や笛などの器楽でも挑戦してほしい。

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 選考委員長=松元剛(琉球新報社常務取締役統合広告事業局長)、副選考委員長=金城美枝子、選考委員(五十音順)=新垣悟、新城恵子、伊志嶺忍、稲嶺和代、荻堂清恵、親泊ナミ、嘉陽田朝裕、金城嘉代子、金城小百合、島尻ひさみ、田中瑠美、當山真澄、渡慶次葉末子、丹生直美、比嘉一枝、外間己乃、又吉恭平、松川好美、宮城秀基


協賛・賛助出演

 【協賛】沖縄美ら島財団、(株)大光、久保田照子チャームスクール、琉球芸能奉納団、トータルケア結、本願寺派城徳寺
 【賛助出演】幸太鼓の会、玉城流うるま会儀武八重子琉舞道場