子牛を生産する繁殖農家やJA沖縄中央会などは27日、糸満市の南部家畜市場で県肉用牛経営危機突破生産者大会を開催した。
繁殖農家を取り巻く経営環境は、ロシアのウクライナ侵攻などの影響による資材高や枝肉需要の低下による競り値下落などを受け、過去に例を見ないほど悪化しているという。
同大会には県内の繁殖農家ら約100人が集結し、子牛価格下落への支援策の実施を求めた上で「危機の突破を目指す」と宣言した。
県内9月競りの子牛価格の速報値は、税抜きで41万3398円で過去10年で最低だった。繁殖農家の採算ラインの50~60万を大きく下回っている。また経営コストの42%を占めるとされる飼料費が高騰しており、経営を圧迫している。
こうした状況を打破しようと、大会では①肉用子牛価格下落に対する支援策の実現②子牛価格の引き上げに向けた販売促進活動の展開③持続可能な肉用牛経営の確立に向けた関係機関の連携―の3点を骨子とした大会宣言をした。
宣言を元にした要請も決議。大会に出席した照屋義実副知事らに要請書を手渡した。同大会を主催したJA沖縄中央会は大会宣言に基づき、国や県に対する農家支援の要請を継続的に実施していく方針。
生産者代表として意見表明した中部地区和牛改良組合の安次富尚組合長は「20頭ほど飼育しているが現在の子牛の価格では赤字で生活も苦しい。消費を拡大していくためにも、高品質な牛作りを徹底していく」と訴えた。
JA沖縄中央会の普天間朝重会長は「子牛価格は競りで決まるため、飼料費が高騰していても価格転嫁ができない。農家の努力だけでなく国や県の援助が必要だ」と述べた。(福田修平)