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最低賃金 順次引き上げ 全国平均1004円 沖縄、8日から896円


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 働く人の賃金の下限額を地域ごとに定めた最低賃金が10月1日以降、順次引き上げられる。同日、宮城など29都道府県で適用され、14日の山形、佐賀両県を最後に切り替わりが完了する。本年度の平均時給は前年度比43円増の1004円となる。千円超えは初めて。沖縄は8日から43円増の896円となる。岸田文雄首相は2030年代半ばまでに全国平均を1500円とする方針を表明しており、持続的な賃上げをどのように実現していくかが課題となる。
 最低賃金は経済情勢に応じて毎年改定される。中央最低賃金審議会で決定した目安額を受け、各都道府県の地方審議会が実際の金額を議論して決める。23年度は物価上昇に加え、人手不足に伴う隣接県との人材獲得競争が要因となり、中央審議会が示した引き上げの目安額に対して大幅に上乗せした地方審議会が続出した。
 首相は8月末、物価高に苦しむ家計を支えるために「賃上げが当たり前となる経済」を目指すと改めて強調。ただ大幅な引き上げが続けば、新型コロナウイルス感染拡大による経営への打撃から回復途上にある中小企業などが反発するとみられ、目標の「1500円」到達には曲折が予想される。
 最低賃金が引き上げられることで、配偶者に扶養されるパートらが、社会保険料の発生する「年収の壁」を超えないように就労時間を抑える可能性がある。そのため政府は、従業員の保険料を肩代わりする企業への補助金を新設するなど、手取り収入の減少を防ぐ支援策を10月から開始する。