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使用後は土に返る自然由来の保冷剤 OIST発の企業EFポリマーなどが共同開発 


使用後は土に返る自然由来の保冷剤 OIST発の企業EFポリマーなどが共同開発  新たに開発されたEFポリマー使用の保冷剤「サイクール」(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 普天間 伊織

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)発の企業、EFポリマー(ナラヤン・ラル・ガルジャールCEO)は16日、岩谷産業(大阪、間島寛社長)、岩谷マテリアル(東京、増田昌義社長)との共同開発で、自然由来の保冷剤「サイクール」を開発し、販売を開始したと発表した。植物残渣(ざんさ)を再利用した樹脂「EFポリマー」を用い、使用後は分解されて土に返る資源循環型の保冷剤。ガルジャールCEOは「CO2削減・廃棄物減量の観点から環境負荷の低減に貢献できる」と意気込んでいる。

 一般的に流通しているゲルタイプの保冷剤は食料品の保冷などの用途で広く普及し、国内での流通量は年間約10億個を超える。低コストで利便性が高い一方、石油由来の原材料を元にした超吸水性ポリマー(SAP)が使用されていることから、廃棄時に多くのCO2を排出し、環境負荷が大きいとされてきた。

 サイクールは石油由来樹脂ではなく植物残渣を再利用した樹脂「EFポリマー」を使用。EFポリマーはオレンジの皮などの残渣をアップサイクルした100%オーガニックの高吸水性ポリマーとして、土壌改良材としても使用されている。

 プラスチック残留、汚染がなく、土壌への二次利用が可能で、保冷剤として使用した後に庭や観葉植物の土に混ぜることにより、一定期間を経て完全に土に返る。
 ガルジャールCEOは「普段、何げなく使っている保冷剤をオーガニックポリマーに置き換えることで、環境負荷の軽減に貢献できる」と強調した。国内流通を中心に展開予定で、大手小売店への納入などを通して普及を図る。

(普天間伊織)