厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は22日、2050年までの地域別の推計人口を公表した。50年時点の人口は20年と比べ、東京都を除く46道府県で減少する。うち秋田、青森など11県は30%を超えるマイナス。市区町村の約2割は住民が半数未満に落ち込む。0~14歳人口は、ほぼ全ての市区町村で減る。全国の人口は17%減の1億468万6千人となる。
人口減少が大きな地域は、税収減や経済の縮小により生活基盤、自治体を維持するのが困難になる恐れがあり、少子化対策や東京一極集中の是正が急務となる。
同研究所は23年4月、20年の国勢調査などから70年までの全国の推計人口を発表。今回は50年までについて、都道府県別と市区町村別のデータを試算した。
20年から人口が減る割合は、最大が秋田で41.6%。96万人から56万人に減る。次いで減少率が大きいのは青森の39.0%。岩手が35.3%、高知が34.8%、長崎が33・8%、山形が33.4%、徳島が33.2%、福島が32.0%で続く。他に和歌山、山口、新潟が30%を超える。東北地方が目立った。
減少率が最も小さいのは沖縄で5.2%にとどまる。神奈川が7.7%、千葉が9.5%、埼玉が9.7%で続いた。東京は唯一20年(1404万8千人)を上回り、2.5%増(1439万9千人)となる。
都道府県別で50年時点の人口が多いのは、東京、神奈川(852万4千人)、大阪(726万3千人)、愛知(667万6千人)、埼玉(663万4千人)、千葉(569万人)の順。20年の順位と同じだった。
全国の市区町村を見ると、ほとんどで人口が減少し、約6割は住民が30%以上減る。約2割では住民が半数未満になる。減少率が最も大きいのは、群馬県南牧村の74.8%。熊本県球磨村が73.3%、奈良県野迫川村が72.5%と続いた。
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<用語>将来推計人口
国立社会保障・人口問題研究所が、国勢調査や人口動態統計などを基に将来の出生率や死亡率を仮定し、日本全体や都道府県別・市区町村別の人口規模、年齢構成の変化を推計。おおむね5年ごとに公表される。社会保障分野などの政策や政府の長期計画の基礎データとなる。都道府県以外の自治体は現在1741だが、今回の推計では政令指定都市は区ごとに算出。東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島県沿岸部の「浜通り地域」13市町村は1地域としてまとめたため、計1884が対象。4月公表の全国推計では2070年時点の人口は8700万人となり、20年の1億2615万人から約30%減る。
(共同通信)