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日銀、17年ぶり利上げ視野 市場関係者、4月を予想 賃金・物価上昇、好循環へ


日銀、17年ぶり利上げ視野 市場関係者、4月を予想 賃金・物価上昇、好循環へ 日銀の金融政策を巡る主な日程
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2024年の日本経済は、日銀が「金利のある世界」への一歩を踏み出すかどうかの重大局面を迎える。日銀は大規模な金融緩和策で金利を低く抑えてきたが、賃金と物価がそろって上昇する好循環実現が近づいているとして、17年ぶりの利上げとなるマイナス金利の解除を視野に入れる。市場関係者の多くは4月の解除を予想している。
 23年末時点では市場に1月の解除を予想する見方もあったが、能登半島地震を受けて後退した。
 日銀は賃金上昇を伴う形で消費者物価上昇率を2%で安定させる目標を掲げ、マイナス金利政策などで金利を抑えている。
 植田和男総裁は目標が実現する確度が十分高まれば金融政策の変更を検討するとし、この判断には24年春闘で「はっきりとした賃上げが続くかが重要なポイントだ」と説明してきた。
 マイナス金利を解除すれば、変動型住宅ローンや企業の借入金利が上がり、個人消費や設備投資を抑制しかねない。ただ、植田氏を支える氷見野良三副総裁は23年12月の講演で「(大規模緩和の)出口を良い結果につなげることは十分可能だろう」と強調。市場には解除への地ならしと受け止める向きもある。
 24年春闘では、経団連が1月に交渉指針を公表。2月から大手企業の労働組合が要求を提出して交渉が本格化する。連合が集中回答日に設定した3月12~14日に大手企業の大勢が判明し、3月下旬には交渉の中心は中小企業に移る。
 日銀の金融政策決定会合は当面、1月22、23日と3月18、19日、4月25、26日に予定されている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美チーフ債券ストラテジストは「春闘の結果や地震の経済全体への影響を経済統計などで見極めた上で、4月に利上げするとみている」と話した。