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ハスを丸ごとヘアオイルに/茨城 葉や花活用、農家負担減


ハスを丸ごとヘアオイルに/茨城 葉や花活用、農家負担減 ハスを丸ごと使って開発したヘアオイル
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 レンコンの生産量が全国一の茨城県で、ヘアメークアップアーティストがハスを丸ごと使ったヘアオイルを完成させた。レンコンはハスの地下茎のことで、農家にとってハスの葉や実、花は生産過程で捨てる端材。これらと、形が悪く出荷できないレンコンを集めて精製したアイデア商品だ。協力した農家は、端材の処分費削減や新たな商機にも期待を寄せている。
 茨城県の霞ケ浦周辺は水を多く含んだ粘着質の泥が豊富で、レンコン栽培に最適とされる。12月は収穫の最盛期で、国内生産の5割超が茨城県産だ。ヘアオイルを考案したのは、茨城県土浦市の東原小百合さん(47)。ハスの花エキスに美白効果があると知り、知人のレンコン農家らに花や実の行方を聞くと「田んぼに放置したまま。葉も捨てている」との声が多かった。「産地ならではの商品で面白いのでは」と考案した。
 完成したヘアオイルは「SANZE(サンゼ)」というブランド名。原材料の約8割がハスで、レンコンと葉からは水蒸気蒸留して「ハス根水」を抽出。花と実から取ったエキスも活用した。ポリフェノールやビタミンなどの栄養素が多く、抗酸化作用や保湿効果が期待できるという。農家からは「端材を捨てる手間を省ける」との声も。
 農薬を使わずレンコンを栽培する土浦市の小島桂輔さん(38)の畑では、月によっては約200キロもの端材が発生していた。「ヘアオイルの生産量が増えれば、処分費を削減できる」と期待する。農家にとっては、農作物の価格下落や肥料代の高騰が悩みの種だ。「農作物を売るだけでは立ちゆかなくなる農家も増えている」と小島さん。加工品を作るにも、農家だけで開発から販売まで担うのは負担が大きく、「東原さんのようにアイデアを持ち込んでくれるのは歓迎だ」と話す。2023年10月末からウェブサイトなどで販売、100ミリリットル4950円。

ヘアオイルを考案した東原小百合さん(左)とハスの端材を提供した農家の小島桂輔さん=茨城県阿見町
ハスを丸ごと使って開発したヘアオイル