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11月経常黒字1兆9256億円/資源高一服、輸入額減


11月経常黒字1兆9256億円/資源高一服、輸入額減 経常収支の推移
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 財務省が12日発表した2023年11月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支は1兆9256億円の黒字だった。黒字額は前年同月比8・7%増となり、11月としては比較可能な1985年以降で最大だった。資源高が一服し、輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字が縮小したことが主因だ。
 経常収支の黒字は10カ月連続。黒字額は23年1~11月の合計で19兆8854億円に達し、22年通年の10兆7144億円を大きく上回った。12月分を加えた23年通年では22年からほぼ倍増し、20兆円規模になる見通しだ。
 11月の貿易収支は7241億円の赤字だった。赤字額は前年同月から約半減した。23年1~11月の合計は6兆7444億円の赤字だった。
 11月の輸出は、鉄鋼や半導体製造装置が落ち込んで前年同月比4・5%減の8兆6239億円となった。輸入は石炭や液化天然ガス(LNG)が減り、11・4%減の9兆3481億円だった。
 11月の旅行や貨物輸送を含むサービス収支は247億円の黒字。訪日客が日本で使った消費額から日本人が海外旅行で消費した金額を引いた旅行収支が2960億円の黒字だったことが要因だ。
 11月の海外投資に伴う利子や配当のやりとりの動向を示す第1次所得収支の黒字額は20・3%減の2兆8949億円だった。海運会社が出資する海外企業の配当などが減った。ただ、海外の金利上昇を受けて債券投資で得る利子が膨らんだため、黒字額は依然として高水準だ。