有料

AI無断学習に「歯止め」 文化庁案了承 権利保護と両立図る


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国の文化審議会の小委員会は15日、文章や画像を作る生成人工知能(AI)の開発や利用で権利侵害につながる恐れのあるケースについて、考え方を示した文化庁の素案を了承した。著作権法が原則認めているAIによる著作物の無断学習に、現行法の運用で「歯止め」をかけ、AIの開発と権利保護の両立を図る内容。委員の意見を踏まえた上で一般からも意見を募り、2月下旬にも最終案を取りまとめる。
 生成AIは、インターネットの大量のデータをあらかじめ学習し、利用者の指示に応じて文章や画像、音声などを作る。
 素案は特定のクリエーターの作品のみを学習させたAIの開発は、権利侵害の可能性があるとした。利用者がオリジナル作品を認識した上でAIに作成を指示した場合も該当し得ると指摘した。
 ただ作風が似ている程度なら問題ないとし、委員からは「似た生成物が出回ってクリエーターに悪影響が出ても、侵害につながらないと断言するのは違和感がある」との意見が出た。
 権利侵害につながりかねない例としては、報道機関や学術論文の出版社などがデータベースとして有償提供する情報を無償で使う場合も挙げた。短い引用のような「軽微利用」は認められるとした。
 一方でAIの学習対象からの除外は、著作権者の意思表示だけでは困難との見方を示した。
 AIと著作権を巡り、日本新聞協会はAIの学習に著作権者の許諾を必要とするなどの法改正を求めている。ただ文化庁は法解釈を整理して対応する方針を示している。