有料

法令順守意識が欠如 BM問題 SOMPOが最終報告


法令順守意識が欠如 BM問題 SOMPOが最終報告 調査報告書のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)による自動車保険の保険金不正請求問題を巡り、SOMPOホールディングスは16日、外部弁護士による調査の最終報告書を発表した。報告書は、傘下の損害保険ジャパンが不正を認識しながらBMとの取引を続け、コンプライアンス(法令順守)体制は機能不全に陥っていたと指摘。SOMPOも意識が欠如して受け身に終始し、経営理念に掲げる顧客視点は「うわべだけ」と結論づけた。
 金融庁は今月下旬、損保ジャパンに保険業法に基づく業務改善命令を出す方針。SOMPOにも改善命令が出る見通しだ。
 報告書によると、コンプライアンス体制が機能しなかった背景として、損保ジャパンでは各部署の役割が体系的に整理されておらず、責任の所在が曖昧だったと分析。不祥事を扱う法務・コンプライアンス部はBM問題を保険金支払い部門の管轄だとして、自ら主導して対処すべき事案だと認識していなかったと問題視した。
 営業偏重の企業風土も影響した。肝心の保険金支払い部門は発言力が乏しく、BMの修理工場の質が低いことを認識しながら営業部門の要請を断れず、BMへのあっせんを優先した。支払い部門の人員を大幅に削減した結果、工場に対するチェックも十分に果たされなくなった。
 親会社の監督が行き届かなかった根底には両社の意思疎通が不十分だったことがあるとして、情報共有に向けた指針の設定を提言。43人に上ったBMへの出向者は不正請求に関与した事実が認められなかったとした。

<用語> ビッグモーター問題 中古車販売大手ビッグモーター(東京)が損害保険各社からあっせんされた事故車両を修理時に故意に傷つけるなどして、自動車保険の保険金を水増し請求した問題。ビッグモーターは車の購入客に保険を販売する保険代理店も兼ね、特に損害保険ジャパンと親密だった。