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日本GDP4位転落 23年 現指標で初、ドイツ下回る


日本GDP4位転落 23年 現指標で初、ドイツ下回る 日本とドイツの名目GDPの推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本の2023年の名目国内総生産(GDP)がドル換算でドイツに抜かれ、世界3位から4位に転落する公算が大きいことが20日分かった。円安ドル高で目減りしたほか、ロシアのウクライナ侵攻の影響で、ドイツの物価が日本を上回るペースで上昇したためだ。日本が4位になれば、経済規模を示す主要指標が通年でGDPになった1994年以降で初めて。
 4位転落は昨年、国際通貨基金(IMF)が予測していたが、ドイツが今回数値を発表したことでほぼ確実になった。
 国の経済規模は国際社会での発言力と結び付いており、世界での日本の存在感が一段と低下しそうだ。少子高齢化が進む中、低水準とされる労働生産性の向上が課題だ。
 ドイツの23年の名目GDPは前年比6・3%増の4兆1211億ユーロ。日銀が算出した23年の平均為替レートを用いてドル換算すると4兆4578億ドルとなる。
 日本の23年1~9月期は436兆4057億円でドルベースでは3兆1034億ドル。ドイツを上回るには23年10~12月期で約190兆円の積み上げが必要だが、約148兆円だった前年同期から3割程度増加しなければならず容易でない。三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、日本の23年名目GDPは約592兆円(約4兆2千億ドル)の見通しだ。
 日銀によれば、23年の平均為替レートは1ドル=140円半ば。22年の131円半ばから大きく円安ドル高が進んだ。また、ドイツの23年消費者物価指数は前年比6・0%上昇。日本の同指数(総合)は3・2%上昇で、ドイツでより急激に物価が上がった。
 ただドイツ経済も厳しい。物価影響を除いた実質GDPは23年が0・3%減となり、3年ぶりのマイナス成長に陥った。24年以降に日本が3位に返り咲く可能性もある。
 名目GDPの世界1、2位は米国と中国だ。日本は1968年、当時の主要指標だった国民総生産(GNP)で西ドイツ(当時)を抜き2位に浮上。だが2010年に名目GDPで中国に抜かれ3位に転落した。5位はインドだが、内閣府は「22年で大きな差があり、23年に日本がインドに抜かれることはないだろう」とみている。日本の23年GDP速報値は今年2月15日に公表される。
 国内総生産(GDP) 国内で一定期間に生み出されたモノやサービスの付加価値の合計額。内閣府が四半期ごとに公表し、景気動向や国の経済力を表す代表的な指標とされる。数値には、実際の価格で計算した名目と物価変動の影響を除いた実質がある。前年や前四半期と比べた増減率を「経済成長率」と呼ぶ。速報値の公表から約1カ月後に、最新の統計を反映し改定値を発表する。