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25年度1.1兆円財政赤字 政府、健全化目標を議論へ


25年度1.1兆円財政赤字 政府、健全化目標を議論へ 財政健全化目標を巡る論点
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府は22日の経済財政諮問会議で、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の中長期試算を示した。政府は2025年度の黒字化を目指しているが、仮に高い経済成長を実現しても1兆1千億円の赤字になり、目標は達成できないと見込んだ。政府は黒字化の期限とする25年度が近づいていることから、新たな財政健全化目標の在り方を諮問会議などで議論する。
 新目標は、6月に取りまとめる経済財政運営の指針「骨太方針」に盛り込む可能性がある。
 試算によると、高成長を実現した場合の25年度の赤字幅見込みは物価高に伴う税収増を受け、23年7月の前回試算(1兆3千億円)より縮小した。高成長が実現できなければ2兆6千億円の赤字になるとした。
 高成長のケースは、23~25年度の国内総生産(GDP)成長率が実質で1・3~1・6%程度で推移するとの前提で試算した。実現できれば26年度には黒字化が達成できる。従来の延長程度の成長率なら、試算の最終年度の33年度まで一度も黒字転換しない見通しだ。岸田文雄首相は22日の諮問会議で「財政健全化を着実に進める」と強調した。
 高成長の場合、消費者物価上昇率は24年度が2・5%、25年度が2・0%と試算した。賃金上昇率はそれぞれ2・5%、3・0%と見込み、25年度には物価上昇を上回る賃上げが実現するというシナリオを描いた。
 今後は新たな健全化目標が焦点となる。政府は23年の骨太方針に「中期的な経済財政の枠組みの策定に向け、経済・財政一体改革の進捗(しんちょく)について24年度に点検・検証を実施する」と明記。プライマリーバランスの25年度黒字化目標を堅持するかどうかに加え、26年度以降の目標の内容が論点となる。