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春闘 きょうスタート 労組、中小価格転嫁「不十分」


春闘 きょうスタート 労組、中小価格転嫁「不十分」 今春闘のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2024年春闘の交渉が、経営側と労働組合側が顔を合わせる24日の「労使フォーラム」で本格スタートする。歴史的な物価高が続く中、中小企業が人件費や原材料費の上昇分を取引価格に転嫁し、賃上げを実現できるかどうか占う重要局面となる。これに先立つ23日、自動車や電機の産業別労働組合が入る金属労協は決起集会を開催。価格転嫁の流れは不十分だとアピールした。
 金属労協の金子晃浩議長(自動車総連会長)は東京都内の集会で「価格転嫁は十分な水準に至っていない」と強調。「人材の確保と育成が、企業と産業の存続に関わっている」と述べ、賃上げ実現による労働条件の改善を訴えた。
 集会に参加した自動車総連の幹部は、賃上げが中小で十分に広がっていない理由として「価格転嫁が進まず、原資がないのであきらめてほしいと会社から言われた」との組合員の声を紹介。電機メーカーの組合でつくる電機連合幹部は、転嫁についての実態調査を基に経営側や政府に働きかけたいと意気込んだ。
 今春闘で政府は経済界に前年実績を上回る賃上げを要請し、経団連は「23年以上の意気込みと決意」を表明。連合は闘争方針で「5%以上」の賃上げ目標を示している。金属労協は基本給を一律に引き上げるベースアップ(ベア)要求を過去最高額の「月1万円以上」とする闘争方針だ。
 価格転嫁を巡っては、政府が22日に経団連、連合と政労使会議を開き、人件費の一部である労務費などの上昇分を取引価格に転嫁できていない22の重点業種を公表。所管官庁を通じて是正していくとしている。