有料

ノウハウ吸収し成長へ 沖縄県経営者大会


ノウハウ吸収し成長へ 沖縄県経営者大会 変化に対応する企業経営をテーマにした講演に聞き入る県経営者大会の参加者ら=5日、那覇市のロワジールホテル那覇
この記事を書いた人 Avatar photo 謝花 史哲

 沖縄県経営者協会(金城克也会長)は5日、第37回県経営者大会を那覇市のロワジールホテル那覇で開催した。「組織力を高め、変化に対応する企業経営」をテーマに、サッカーJリーグ第5代チェアマンで、現在は日本バドミントン協会会長を務める村井満氏と経済ジャーナリストで作家の渋谷和宏氏が講演した。村井氏はサッカー界以外から初めてチェアマンに起用され、新型コロナウイルスへの迅速な対応で日本のスポーツ界をけん引した経験を基に、変化に求められる経営力を説いた。渋谷氏は多方面への取材経験からコロナ禍による価値観の変化を分析し、日本経済を明るく展望した。主催者あいさつで金城会長は「経営環境の変化に適用し、生き残ることが求められている。ノウハウを吸収して成長発展へつなげよう」と呼びかけた。

(謝花史哲)


不確かな時代に「始動力」必要 村井満氏(日本バドミントン協会長)

村井 満氏

 見通しが立たない不確かな時代になっている。顧客ニーズの変化が顕著で、世界各地の政変や災害など想定外の出来事への対応も必要になっている。ビジネスは複雑化し、物事の因果関係が不明確で再現しにくくなっている。

 その中で模倣から超越、誰もやったことがないことをやる「始動力」が求められている。Jリーグのチェアマンを務めた時もそうだが、見たことがないところに飛び込む時の共通点は緊張する方を選ぶということだった。緊張はできるかできないか、ぎりぎりのところで生まれる。だから向き合うことで成長する。

 そして速さで経営者の本気度が分かると思っている。誰もやってないことをいち早くという時間を意識することは大事で、成功確率を上げることになる。社内では外と比較し結果の質を求めがちだが、部下と関係性をつくることが大事だ。関係性の質から入ることで、思考の質、行動の質が向上していく。組織は会見など外にさらされることで問題が分かりリスクも下がる。成長を続けるには傾聴力と主張力が大切だと思う。


消費の二極化 生活必需品でも 渋谷和宏氏(経済ジャーナリスト・作家)

渋谷 和宏氏

 日本経済の行方について一つのキーワードが「強制貯蓄」だ。コロナ禍で経済的、社会的制約がかかり、50兆~70兆円超が貯蓄に回ったとの試算がある。リベンジ消費で、この取り崩しがある一方、物価高で生活必需品は節約志向が出てきた。消費の二極化が生まれているが、生活必需品の分野でも勝ち組がいる。

 ここでのキーワードは「セルフケア」だ。コロナ禍で健康への考え方が変わり、健康にお金を使うようになっている。もう一つの変化は時間への価値観だ。デジタルツールの多用や在宅など仕事の仕方が変わり、時は金なりの思考が高まった。健康という付加価値と効率的なオペレーションは消費者の吸引力を高めている。時間を効率的に使うサービスはお金を動かす導火線になり得るだろう。

 団塊世代など人口が多い世代が引退した時代に入っている。彼らは資産も多く、その世代への対応に日本経済のチャンスがある。チャンスをつかむには、顧客に「寄り添う力」と社員の提案力を高めることが経営者に求められている。