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「首都直下」被害1000兆円 土木学会 復興費含め初の試算


「首都直下」被害1000兆円 土木学会 復興費含め初の試算 首都直下地震の被害推計と震度想定
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 土木学会は14日、首都直下地震が起きた場合の道路などの損傷に伴い経済活動が低迷する「経済被害」と、建物損壊などの「資産被害」を合わせた経済的被害が、約20年間で総額約1千兆円に上るとの推計を明らかにした。税収減と復興事業費を合わせた財政的被害は389兆円に上るとした。
 土木学会によると、復興事業費も含めた財政的被害を試算したのは初めて。
 電柱の地中化や橋の耐震補強など、公共インフラの事前対策に21兆円以上を投資すれば、経済被害を369兆円減らし、財政的被害を151兆円圧縮できるとしている。
 推計を取りまとめた藤井聡京都大大学院教授(都市社会工学)は東京都内で記者会見し「減災のために適切な投資をすれば、人的被害も経済的被害も最小化できる。政府も必要性を認識してほしい」と話した。
 土木学会は2018年、阪神大震災の復興に関するデータを基に、首都直下地震の経済的被害は計778兆円に上るとの推計を公表していた。今回、東日本大震災のデータを基に、改めて計算し、報告書にまとめた。
 報告書によると、経済的被害は、経済被害954兆円と資産被害47兆円を合わせた1001兆円。財政的被害の内訳は、税収減が36兆円で、復興事業費が353兆円。
 東京湾、伊勢湾、大阪湾での巨大高潮と、全国109水系での洪水の被害も試算した。高潮の経済的被害は東京湾で115兆円、伊勢湾で126兆円、大阪湾で191兆円。
 洪水は、気候変動による台風の激甚化を考慮した場合、全国109水系の合計で537兆円に上るとした。