有料

バス運転手不足 2.1万人 日本バス協会 残業規制受け、24年度試算


バス運転手不足 2.1万人 日本バス協会 残業規制受け、24年度試算 バス運転手数の試算
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が4月1日、バス運転手に導入される。労働時間が全産業比で1割ほど長く、過労抑止を図る狙いだ。だが運転手は現状でも足りておらず、日本バス協会は2024年度の不足は2万1千人分に広がると試算。路線バスは人口減、過疎化で厳しい経営環境にさらされている。同協会は人材確保ができなければ「減便や路線廃止の拡大は避けられない」と危機感を表明。国や自治体の支援を求めている。
 金剛自動車(大阪府富田林市)は、運転手不足と利用者減少を理由に昨年12月にバス事業を廃止した。今春は札幌、横浜、福岡各市など各地で減便。一部では路線廃止も含むダイヤ改正がなされた。地域公共交通総合研究所(岡山市)による昨年11月時点の調査で、貸し切りバス会社含む68社のうち67社が運転手は「不足」と回答していた。
 協会は人材確保に向け「運賃値上げによる着実な賃上げ実現が急務」と強調。利用客の負担が増える可能性がある。ただ客が離れれば路線の維持が困難になるといった悪循環も想定され難しい判断が迫られる。
 17年度に13万3千人ほどだった運転手数は23年度に11万1千人(推計)まで減少。利用客数が落ち込む中、コロナ禍の外出自粛が追い打ちとなり退職者が増えた。ただ最近は、国内移動が一気に活発になり、訪日客も急回復した。
 協会は、22年度の輸送規模を維持していくには12万1千人の運転手が必要で、現状は1万人足りないと試算する。
 そうした中、残業上限規制(年960時間)が4月に始まる。それとは別に、1日の拘束時間を現行より少なく、勤務終了から始業までの休息は長くする新ルールも同時に導入される。
 1人当たりの働く時間は減ることになり、不足が8千人分膨らむと協会は試算する。さらに新規就業者数を上回る退職者数も3千人規模で、24年度の不足は計2万1千人分と推計した。状況が改善しなければ、30年度には3万6千人分に達するとみている。