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米国産牛 今年後半に急騰か 物価高余波、経費増 飼育頭数が減少


米国産牛 今年後半に急騰か 物価高余波、経費増 飼育頭数が減少 米国の肉用牛飼育頭数の推移
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 【ワシントン共同】米国産牛肉の価格が2024年後半から25年にかけて記録的な高値になる―。米国農業会連合(AFBF)は25日までに見通しを明らかにした。近年進んだ物価高の余波で肥育の経費がかさみ、肉用牛の飼育頭数の減少傾向が続いていることが背景にある。日本など米国産牛を使う外食産業や消費者にとっては新たな頭痛の種となりそうだ。
 農務省によると、24年初めの肉用牛の飼育頭数は推定で2822万3千頭。ピークだった1975年から38%減少し、61年以来最低の水準にまで落ち込んだ。
 頭数減少をもたらした経費増の要因の一つが、干ばつに伴い22年ごろ顕著になった飼料のトウモロコシの価格高騰だ。ガソリンなどの値上がりも農家の経営を圧迫。経費抑制のため、飼育頭数を減らしたとみられる。出荷までは一定の飼育期間が必要で、24年後半以降に流通量が減る可能性があるという。
 さらに、インフレ抑え込みのため連邦準備制度理事会(FRB)が進めてきた利上げも、農家に追い打ちをかけている。子牛の購入などで、農家が金融機関から借り入れる金利の負担が上昇。AFBFは高水準の金利について「今後2、3年は経営上の障壁となり、頭数の回復を遅らせる可能性がある」と指摘した。
 AFBFによると、足元では繁殖用の雌牛も一部食肉用に転用して、十分な流通量を確保している。
 米国産牛が大きく減る事態に陥れば、日本でも店頭価格の上昇につながりかねない。米国産牛と競合関係にある乳用牛を食用にした肉を手がける国内農家などにとっては、販売の追い風となる可能性もある。