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物価上昇「緩和縮小も」 日銀総裁、当面は環境維持


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 日銀の植田和男総裁は9日の参院財政金融委員会で、今後の金融政策運営に関し、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が高まれば「(金融)緩和の度合いの縮小も考えていかないといけない」と話した。ただ、足元の上昇率は物価安定の目標とする2%をやや下回っており、当面は「緩和的な金融環境を維持することが大切だ」と改めて強調した。
 植田氏は、経済や物価の動向を丁寧に点検していくとした。追加利上げの時期は「現時点で予断を持っていない」と述べるにとどめた。物価上昇率は、2025年度にかけておおむね2%になるとの見通しも示した。
 外国為替市場の円相場についても言及し、円安が進んで物価に無視できない影響を与える事態に至れば「金融政策の対応を考える可能性が出てくる」と指摘。円相場は1ドル=152円に近い水準まで下落しており、円安進行は輸入する食品や原油の価格上昇につながる。
 植田氏は9日で総裁に就任してから1年となった。3月にはマイナス金利政策を解除するなど「いくつかの政策決定を進めることができた」と振り返った。