有料

円安急進行に介入せず 政府、日銀 効果限定的か


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 外国為替市場で円安ドル高が急速に進み、一時1ドル=153円台と約34年ぶりの水準に達したが、政府、日銀は直ちには円買い介入に踏み切らなかった。米国の堅調な経済に起因するドル高のため効果が限定的にとどまる可能性があることや、岸田文雄首相の訪米と重なったことが背景にあるとみられる。ただ市場では、一段と円安が進めば介入を実施せざるを得なくなるとの見方が強い。
 円売りドル買いは、米時間の10日に3月の米消費者物価指数(CPI)公表された後、加速した。前年同月比3・5%の上昇となったことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が後退。日米金利差が当面縮小しないとの見方が強まった。
 先週発表された3月の米雇用統計が堅調な数字だったことも、ドル買い要因となっていた。
 第一生命経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは「ドル高の流れの中で円買い介入をしても効果がかき消される」と分析する。
 ちょうど日米首脳会談とタイミングが重なり「裏で荒っぽい動きはしにくかったのではないか」(みずほ証券の小林俊介チーフエコノミスト)と推察する声もある。
 ただ一段と円安が進めば、介入を余儀なくされるとの声は多い。輸入を通じて物価を一段と押し上げ、消費者心理を冷え込ませかねないためだ。大和証券の末広徹チーフエコノミストは「1ドル=155円ぐらいまでには介入を実施するだろう」と指摘した。