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18製品117件で健康被害 機能性食品 入院など重篤な例も 事業者 「報告不要と判断」


18製品117件で健康被害 機能性食品 入院など重篤な例も 事業者 「報告不要と判断」 紅こうじサプリ問題の経過
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小林製薬(大阪市)の「紅こうじ」サプリメントによる健康被害を巡り、消費者庁は12日、機能性表示食品の届け出がある約1700事業者に実施した調査の速報値を公表、小林製薬の製品以外に、11事業者の18製品で計117件、医療従事者からの健康被害報告があったと発表した。死亡事案は確認されなかったが、入院するなどの重篤な内容も含まれている。
 軽症例では下痢や湿疹などがあった。消費者庁は、「(摂取との)因果関係が確認されないものも含まれている」と説明。直ちに対応が必要ではないとし、事業者名や製品名は公表しなかった。
 健康被害をこれまで報告していなかった事業者はいずれも「消費者庁への報告は不要と判断した」と回答してきたといい、機能性表示食品制度における報告義務の基準の在り方が問われそうだ。消費者庁は回答内容を調べ、制度の今後の方向性を検討する。
 制度は2015年に開始。健康に寄与するなどといった「機能性」と有効成分の「安全性」は、事業者の責任で科学的根拠を示すことが定められ国は審査をしない。消費者庁によると、機能性表示食品における健康被害の発覚は、小林製薬のサプリが初めてだった。
 制度のガイドラインでは、健康被害に関して「発生および拡大の恐れがある場合は、消費者庁へ速やかに報告する」とされているが、小林製薬は最初の被害把握から報告まで2カ月超を要した。
 このため、消費者庁は他の事業者でも健康被害がなかったかどうかや、被害があった際の情報の把握体制について、全事業者を対象に3月28日に質問状を送付していた。
 同庁の担当者は18製品に関して「特定の製品に特定の症状が集積しているわけではない」「報告不要としたことが悪いわけではなく、事業者が適切に評価していたかどうかだ」と話した。