有料

空前の人手不足、補充急ぐ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2025年度入社の新卒採用アンケートで、近年の採用市場について「売り手市場が続いている」「一段と売り手市場化している」との回答が計75%(88社)に上った。生産年齢人口の減少や残業規制強化の24年問題により、企業は空前の人手不足に直面。人材獲得競争が激化し、積極的に採用数を増やしたり初任給を引き上げたりする動きにつながっている。
 人手不足の深刻さは、3月調査の日銀企業短期経済観測調査(短観)でも裏付けられた。雇用人員の過不足感を示す指数が全規模全産業でマイナス36となり、1991年11月以来約33年ぶりの水準に落ち込んだ。
 24年度に計画通りの新卒人数を確保できなかった企業は23%(27社)あった。25年度は既卒や中途採用で人材を補おうとする傾向も目立ち、三菱UFJ銀行は前年度の347人から600人に増やす計画だ。
 24年は日経平均株価が初めて4万円を超えるなど、経済の好転も伴い企業が積極採用を続けるとの期待が高まる。一方、足元では人手不足で行き詰まった中小企業の倒産も増えており、景気を冷やしかねないとの懸念が出ている。