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貿易赤字縮小5.8兆円 23年度、輸出額は過去最大


貿易赤字縮小5.8兆円 23年度、輸出額は過去最大 対米国、中国、EUの貿易収支の推移
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 財務省が17日発表した2023年度の貿易統計(速報、通関ベース)によると、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は5兆8919億円の赤字だった。輸出が自動車の伸びを背景に比較可能な1979年度以降で過去最大となり、資源高の緩和で輸入額も減少したことから、赤字額は過去最大だった前年度の22兆579億円から大幅縮小した。ただ円安もあり3年連続の赤字となった。
 先行きについては中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇する可能性があり、外国為替市場の円安進行で輸入額が再び膨らむことで、貿易赤字が拡大する懸念がある。
 23年度の輸出は前年度比3・7%増の102兆8983億円。自動車が30・2%増の17兆8771億円で過去最大となり、建設用・鉱山用機械も増えた。輸入は10・3%減の108兆7901億円だった。原油が18・4%減の11兆2914億円で、石炭と液化天然ガス(LNG)も減った。
 国・地域別では、対米国の貿易収支が自動車輸出の好調で9兆1356億円の黒字となった。黒字幅は37・8%増えた。対中国は5兆9287億円の赤字で、電子部品の輸入が減って赤字幅は13・1%縮小した。対欧州連合(EU)は7220億円の赤字だった。
 外国為替レートは23年度平均で1ドル=143円79銭。前年度より6・5%円安が進行し、赤字継続の要因となった。足元の円相場は1ドル=154円台まで下落している。
 同時に発表した24年3月の貿易収支は、3665億円の黒字だった。黒字は3カ月ぶり。輸出は前年同月比7・3%増の9兆4696億円、輸入は4・9%減の9兆1031億円だった。